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寮の部屋へ戻ってきた優人は、ドア伝いにズルズルとその場に座り込んでしまった。容赦なく暴力を受け、ボロボロの体でなんとかここまで戻ってきたところだ。とはいえ気絶して、さらに痛む体を引きずってきたせいでもう夜の9時になろうとしているところ。

いつもなら、流の分も含めた夕食を作って、お風呂も入って部屋で勉強している時間なのに。


…優人は、部屋の中では今まで通りでいようとした。ちゃんと流の分も夕飯を作り、それが食べてあると少し元気がもらえて。でもなぜか、ここ数日、部屋で流を見ることはなかった。



「…つ、く、らなきゃ…」



もしかしたら食堂での話を聞いて、避けられているのかもしれない。でも、ご飯はたまに食べてくれている。だから今日も。使命感などではない。…優人自身、流に作りたいと思っているのだ。

もうボロボロでガタガタの体をなんとか起こし、優人はリビングへ足を踏み入れた。そして、目を見開く。



「なが、れ、せんぱ…っ」

「……」

「…ぁ、い、ま、ご飯、つく、作ります、から…」

「…チッ、ぜぇな…」

「え?…っ、ゔぁ゙っ!!」

――ドゴ!



殴り、飛ばされた。

リビングでテレビもつけずにソファーに座っていた流は、へらり、と笑いきれてない引きつった笑みを浮かべてそういう優人に舌打ちをし、加減などせず本気で頬を殴った。


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