* 「秋山の過去は今、関係ない。それに秋山がもし本当に照を襲っていたとして、その証拠や物証がないと俺は、動けない」 「そん、そんな…っ。せんぱ、は、こいつの方を、信じると…?」 そういうんですか。 照は、絶望した。しかし優人は否定も肯定もしていない。信じるどうのの前に、優人は何も言い訳してないのだ。 優人はそれ以上生徒からの視線に堪えきれず、また頭を下げてその場を立ち去った。戻る先は教室。けれど、今日はもう、寮に帰ってしまおうか。 「照…一応保健室へいこう。立てるか?」 「っ…省吾せんぱぁい…っ」 「照を信じないわけじゃない。ただ、…俺もそれなりに、秋山のことを知っているだけだ」 「人殺し、なのに」 「…そうだな」 優人が、学園中を敵にしてまで『人殺し』というレッテルをまた引き受けた。…己を守るために、約束をずっと守るために。だとしたら省吾は優人の決意を無駄にしてはいけないと、そう考えた。 無駄にせず、けれども自分だけは優人の味方でいれるように。省吾はツキリと痛む胸を押さえつつ、怒りを抑え込んでいる照を連れ、保健室へと向かうのであった…。 [*前へ][次へ#] [戻る] |