34 最後までめぐるくんは吠えてたけど、しーくんは全部シカトして僕と一緒に寮に帰ることになったの。 はぁ…嵐が去ったあとみたい。 部屋は、めぐるくんがくるといけないからしーくんの部屋に。ついた途端、ギューッて抱き締められた。 「し、しーくん…?」 「…アレがきてから、あいつらは仕事をしなくなった。あの、四葉でさえ、だ。なのにアレのせいで仕事も増えて、俺しかいなくて…カナが巻き込まれて大変な思いをしてるのはなんとなく気づいていたんだが、連絡も出来ず…悪かったな」 「…ううん…大丈夫だよ。確かに、ちょっと…結構?強引だし、それに巻き込まれてるけど、…えへへ、しーくんがいるもん」 「カナ…今日、ほんとは心臓止まるかと思ったんだ。よかった、間に合って…」 「僕も、きてくれて嬉しかった。…しーくん疲れてるんでしょ?座ろ?」 後ろから抱き締めてくる腕をポンポン、と叩いて提案してみるけど、何もいわなくなっちゃった。 相当ストレスも溜まってたのかな…この玄関にでさえ、仕事の書類が置いてあるもん。 だから、ワガママいっちゃダメ。しーくんの負担、少しでも減らしてあげれるようにしないと…。 「アレは、宇宙人かなにかか」 「…ふは、宇宙人って…」 「話が通じなかった…」 「…そ、れは…いつも、そう」 「…カナ、…今日は、優しく出来ないかもしれない」 「っ…し、しーくんになら、いいよ…?///」 久しぶりだし、ね? と小さな声でいえば、抱き締める力が少し強くなった。 しーくん、しーくん、僕ね、ほんとにしーくんにならなにされてもいいんだよ? 一番嫌なのは、しーくんが誰かに盗られちゃうこと。 僕、そうなったら1人になっちゃう。 でも…あの、めぐるくんの食いつき方、ちょっと気になったな…何もないといいんだけど…。 [*前へ][次へ#] [戻る] |