32 「長嶋じゃなくてめぐるだってば!それに名前!下は!?」 「め、めぐるくん!3年だから、敬語使おうよっ」 「なんでだよ友達に敬語なんて変だろ!?それに奏も使ってなかったじゃん!」 「ぼ、僕は…幼なじみ、だから…」 「なんだそれ!贔屓だぞっ!おれを仲間外れにしちゃいけないんだっ、だから敬語なんて使わなくていいんだ!!」 …本人が使えって、遠まわしにいったのに…。 どうするんだろうと思ってチラッとしーくんを見上げたら、ちょっと不機嫌そうに眉間にシワを寄せた。 しーくん、親衛隊とか、こううるさいの嫌いだから…。 「っ…おい奏!この人の名前教えろよっ!」 「いっ、た…!ちょ、めぐるくん、痛い…っ」 「カナ…?…なんだこの手、青く変色してるじゃないか」 「あ…」 「シカトすんな!!なぁあんたも!名前教えろよっ」 めぐるくんが掴んだ僕の手首を見て、しーくんの機嫌はさらに下がった。 そして、シカトするなと腕を掴んできためぐるくんを見て、眉を寄せる。きっと、握力が強いことに気づいたんだと思う。 あのしーくんがここまで不機嫌になるの、珍しいもん…。 [*前へ][次へ#] [戻る] |