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ちょっとね、といって僕は一眼レフのカメラを持ち上げてみせた。この夕日を写真に収めたいと思ったんだ。保は帰ってもいいのに待っててくれるらしく、僕はカメラを構えて赤く照らす夕日をレンズ越しに見つめた。
――スッ、と心が落ち着いていくのが分かる。手ブレがないようしっかり構え、そしてシャッターを押した。1枚、2枚。それから道路へ伸びた自分の影も1枚。ちょっとよそ見をしていて、綺麗に黄昏た感じを出していた保も1枚。
「……あ、今撮っただろ」
「かっこよかったからね!大丈ー夫、これは売らないし」
「知ってる」
「へへ、んじゃ帰ろっか。あー早く理央に会って話聞きたい」
このカメラで撮ったものは、僕の『作品』だから。売ったりなんかしない。むしろ滅多に人には見せないし。早く現像したいなーなんて思いながらも、理央が待ってるだろう部屋に早く戻ることにした。
◆
え、なにあのソワソワした感じ。まるでつき合いたてのカップルみたいじゃね?一緒に登校することにしたんだけどなんだか気恥ずかしくてソワソワしちゃうーみたいな。も、萌えええ!!モジモジしちゃってるよおらワンコそこは手ぇ繋げ!君がリードしなくてどうするんだっ。
…っと、おはよーみんな。朝からハイテンション失礼しました。いやね、理央に誘われて僕と理央とワンコの3人で登校することになったんだ。2人の邪魔しちゃいけないかなぁと思ったけど、これは目の前で萌えを堪能出来るチャンス!ってことで1歩…3歩?下がって一緒に登校中。ぐふふ、堂々と見れるって最高。
「なー伊織…」
「いーからいーから」
「…ほんと、変なやつ…」
「理央、…気に、しない」
そういってさり気なーく理央に近寄るワンコGJ!あれ上から理央の素顔見てるんだ絶対そうだハァハァ欲情してしまえ!とまぁそんなことしてるうちに学校ついたんだけど、靴を履き替えてもなかなか理央たちが来ない。…あ、まーだそんなとこに。
「おーい理央遅い…って、クサ!も、もしかして…!」
親衛隊のイジメキターッ!!
上履きに画鋲通り越して生ゴミキターッ!
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