24
『キャーこの京極様素敵ぃっ』
『僕今日は渡辺様のポスター買いにきたのぉ』
『あっ、ちょっとそれ僕が…!』
『すいませーん!この写真もうないんですかぁ?』
「…あ゙?ねぇよ、どれも10枚までっつたろーが」
「はいはーいっ、もっと用意しても売れると思いまーすっ」
「んぁー?…っと、よぉ伊織。今日は保も一緒か」
…っていった途端、キャーッ!だってさ。保も人気あるからねー慌てて裏に逃げてったよ。いやー今日も繁盛してるねーなんか嬉しいな。ほら、その写真撮ってるの僕だから!
このお店で印刷して、それをグッズにしたりしてるんだ。一枚100円で買ってくれるからいい小遣い稼ぎになるし、店員としてもたまーにバイトしてるから写真の現像にお金をかける僕としては助かってる。
ちなみに、1枚の写真で10セットまでしか作らないのはその方がプレミアがつくでしょ?つってもみんなコンプしようとして買うと思うんだけどなー…ま、週一で写真も更新されてますけど。
「今日もいい写真たっくさん持ってきたよー」
「そーかそーか、適当にパソコンに入れといてくれ」
「はいはーい。テツさん、あとで僕から話あるから!」
「おーそーかそーかー」
あ、聞いてないなテツさんめ。ちぇっ、と唇を尖らせてカウンターの裏、お店の奥に。そこには休憩スペースと業務用のパソコンがあって、保はすでにお茶をいれてくつろいでた。早いな…まぁ、僕とテツさんのも用意されてるけど。
……そうそう、さっきの人はこのお店のオーナーね。雇われだけど。草間哲治。いくつだったかな…若くも見えるけどでも渋い感じの人で、テツさん自身も人気者。
緑がかった黒い髪は少し長くて、ぐーっと後ろトップに一つ縛り。顎髭もなかなかワイルドで、自他共に認めるニコチン中毒者。投げやりな性格がまー逆にいい人に見えるのが不思議だ。
「やっぱ俺、ここ苦手だ…」
「ははっ、親衛隊しかいないからねーでも僕としてはもっとテツさんと親密になってもらいたいというか…っと、あれーこんなに写真撮ってたっけ?」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!