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ずり落ちていた肩掛けを直される。けれど気づかないかな、今の勤の発言のせいでクラス中が凍りついたこと。
……ご覧の通り、僕には友達がいない。前は、いた。
それなりに楽しく過ごしてたから。
けど、今はもう、誰も近寄ってこないんだ。先生でさえもね。
勤は、気に入らないことがあるとすぐ暴力に訴えかけるし、…この学園で上位に入るくらい偉い家柄らしいから。
誰も、勤には逆らえないんだ。
◆
――12:00
お昼休み。
チャイムが鳴ると、みんな食堂や購買へ向かう。僕たちは…違う。
勤に手をとられるまま立って、恋人繋ぎに変えて、教室を荷物を持って出る。
誰も邪魔しない、2人きりになれるとこへ行くんだ。
もう僕たちが使い出してから、お昼休みは誰も近づかなくなっちゃった。
たまに3年生が通りかかるだけ。
「午前お疲れ。今日はカツサンドだ」
「い、いつもありがと。美味しそうだね」
「ふっ、航の方がウマそうだけどなぁ?」
「っ…も、勤ってば…。いただきます」
「あー」
適当な返事をしながら、途中で買ったペットボトルの蓋を開けてくれた勤。
僕が自分でケガしても、凄く怒るんだ。
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