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恍惚とした顔。
間違えて頭に強く刺しちゃっても、絶対文句はいわない。
僕にやられたって喜ぶだけ。

勤は僕に凄く甘い。
甘く甘く、その分いうこと聞かないと鬼…悪魔のようになる。


その差も、怖い。
全てが、怖い。


……これだけのせいで怖いわけじゃないから。勤が、もっと色々してるせい、だから。







――8:20

「今日もさみぃ…大丈夫か?航」

「う、うん。勤のおかげで平気だよ」

「そりゃ良かった」



……心は寒いけど。
冬真っ只中。暖房の入った校舎も、隙間風で少し寒いところがある。

僕の席は窓際の一番端で、その横に机をくっつけるようにして勤がいる。
他の人は、僕に触れないようにと間を開けてるんだ。


勤が用意した膝掛け、肩掛け、窓に貼られた防寒の類。
隙間はガムテープで埋められて、もう窓を開けることすらかなわない。

その徹底っぷりは、周りを、僕をさらに脅かすだけなのに。



「航が風邪なんて引いちまったら、その風邪移した可能性のある奴全員殺しちまうかも」

「っ…お、大袈裟だよ」

「いーや、それくれぇしねぇと気ぃ済まねーし。ほら、しっかりかけとけ」

「あ、…りがと、う」



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