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それからダイニングに。
そこにはもう料理が並んでいる。僕は作ってない。
僕より早く起きた勤が、作ったもの。
「きょ、今日も美味しそうだね」
「はは、よせよ照れるだろ」
「料理出来る男の人って、女の人にモテそ…、っあ」
「……俺が愛してんのは航だけだ。他の奴なんていらねぇって何回いや分かんだよ!」
「ご、ごめんなさっ!っ…そ、想像したら、悔しくて、えっと…」
勤との会話は、凄く神経を使う。相手の気に障ることをいわないよう、機嫌を良くさせるよう、誉めたりわざと嫉妬した言い方をしてみたり。
ほら、バカだなって、笑った。
顔はいいのに、僕には全部が怖く感じる。
「俺が料理作ってやんのは航だけだよ。…卵焼き、うまく作れたんだ、食ってみろよ」
「う、うん。……あー…んっ」
――モゴ、
「……甘くて、おいひぃ」
「だろ?あーリスみてぇで可愛いぜ航」
そういう勤の目はギラギラ光っていて、僕は背筋を震わした。
普通は恋人同士なら喜ぶだろうその言葉も、勤がいうと怖くて仕方ない。
あーんなんて、したくないのに。食べ終わるまで全部するわけじゃないけど、大体してくる。
拒むとムリヤリ口に突っ込まれるから、僕も大人しく食べる。
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