17 たった数分で色んな表情を見た。無表情、憂いをおびた表情、困り果てた表情、怒り、悲しみ、笑顔、寂しさ。 クルクルと変わるそれの中で、何よりも笑顔が印象に残った。 ……また、見てぇんだよ。 「おい、クラス分かるか」 「……教えないわよ」 「あ゙あ?」 「これはあの子のためでもあるの。誰かと会って、話したなんて片瀬にバレたら…あの子が危ないわ」 「……」 「本気にしてもただの興味にしても、あの子を思うならやめなさい。…向こうがまた接触してくるのを待つことね。あるか分からないけど…」 そうか…そこまで追い詰められてんのか。なら昨日はどうなった。逃げてきて、ただで済んだのか? 昨日の様子だと大丈夫そうだったが…。 ……蓮が、好きだった。 始めは興味本位で、最後は本気で。一年かけて忘れることが出来た、そんな俺が次の恋をしたらおかしいか? タイプがちげぇ。んなもん知るか。…守ってやりてぇと思ったんだよ。そばにいてやりてぇと。 今は何も出来ねぇけど、航の心の支えになれんならガマンする。 だから、また逃げてこい。 俺のもとへ…。 * * * [*前へ][次へ#] [戻る] |