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「それでも…せっかく、だし…」
このまま先生たちに助けを求めてもいいし、学園を飛び出したっていい。
でも、周りの人を危ない目に合わせたくないから、お仕置きは受けよう。
それで、どうせ受けるなら…少しでも今の自由な時間を満喫したい。
そう思って、さらに外へ踏み出した。サクサクと雪の上を歩いて、とりあえず寮を一周してみようかと考える。
うん、そうしよ。
勤への言い訳も考えながらゆっくり回ろ。
なんか…怖い思いが待っているはずなのに、今は心が軽いや。
◆
「綺麗…」
寮の裏手にあったベンチ。
その上に積もっていた雪を手で払って、冷たさを感じつつも座って空を見上げた。
灰色の空から降ってくる白い雪が、僕には凄く綺麗に見えたんだ。
手を出せばヒラリと舞い落ちてきて、その手の温度ですぐに溶けちゃう。
なんて儚いものなんだろう。
……って、せっかく1人になれたのに暗すぎ!
「んー…どれくらい経ったんだろ」
そんなに歩かなかったし、ここで休んで5分もしてないし、まだ大丈夫だろうな。
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