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それでも "自由" は諦められなくて、平凡に戻りたくて、ドアノブに手をかけた。

オートロックだけど、そうじゃなくても中からは普通に開けられる。
これを押せば、開く。



「っ…少しでも勇気を出せ、航!」

――…ガチャ…ッ

「あ…いた…」



そりゃ開くけど…開けちゃった。ゆっくり、ゆっくり開く扉。
その向こうには特に人はいなく、長い廊下が続いていた。

いつも勤と歩く廊下。



でも、今は、1人。

―――逃げれる…!



気づいたら、部屋を飛び出していた。大きい服を握り締めて、しっかり靴も履いて、自然と頬を緩ませながら僕は走っていた。

エレベーターを待つのももどかしく、階段を駆け下りて外へ出て、新鮮な空気をめいいっぱい吸い込んだ。



「っは…!雪だぁ…っ」



10cmほど積もってて、今もチラチラと降っている。
寒い。でもそれが気にならないほど今は、気分がいい。


……けれど、このあとのことを考えて一気に落ち込んだ。
逃げて、どうすればいい?

行くあてもなく、こんな天気なのに外に出て、カギも持ってないから部屋にも帰れない。
つまり、いなくなったことがすぐ勤に見つかる。


……お仕置きされてしまう。



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