3
……ほら、いつの間にか着替えが終わってる。今日は勤のジャージだ。
もしかして…、
「悪いな航。少しだけ出掛けてくる」
「あ、うん」
「俺のジャージ着せてやったから少しは寂しさ紛れるだろ?あ、外は危険がいっぱいだから出るなよ?もし暇があれば籠の掃除でもしててくれ」
「……うん、き、をつけて」
「おー…絶対部屋から出るなよ」
最後にそう念を押して、勤は出て行った。
よくあること。
僕は1人では出歩かせないくせに、自分は出て行く。
……僕を少しでも視界に入れた人を懲らしめるために。
はぁ…とため息をついて、鳥籠を一瞥する。なんて、入りたくない籠の掃除をしなきゃいけないんだろう。
やだな。もうヤダ。
どうして僕なんだろ…逃げちゃおう、かな。
「なんて…ムリ、だよ…」
いつもいつも、玄関の前で足は止まっちゃう。
実はこの外にいるんじゃないか、僕を試してるんじゃないか、そう思ってしまう。
逃げたら…そのあと捕まってしまったら、もう自由はなくなる。監禁される。
……今も似たようなもんだけど…。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!