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…俺たちのクラスには、入学時から全く学校に来てない奴が1人いる。田中竜也、髪は少し長く、赤いとの噂。陸がソイツを見て赤だっていうなら、噂も嘘じゃないんだな。
それに話だと中等部のときから学校にはあまり来なかったらしいし。なんだっけ…『保健室の赤い魔物』?とか何とか。そんな休んでて大丈夫なのだろうか?噂のせいで顔を出せないとかじゃ…。
「……ちょちょ気になっひゃっへるんはろ」
「汚っ!ちゃんと飲み込んでから喋れよっ」
「んぐんぐ、わり」
「何回注意すりゃ治るんだ…うわ、零してるし」
「すいませーん」
ぐっ…悪いって思ってないだろ。それが分かっててティッシュで片す俺も俺なんだろうけどさ。ついでだから陸の口の端のケチャップも拭いておいた。もっと落ち着いて食べれないんかね。
「それで、何ていったんだよ」
「ちょっと気になってんだろ、つったの。んな顔してる」
「ぅ…そりゃ、ちょっと?」
「あんま変なのに関わんなよー?」
「そうするよ」
とはいっても、みんなのそういう気持ちが田中を休ませてるのかもしれない。うーん、今度先生に部屋聞いて会いにいってみようか…きっと勉強とかもどこまでやってんのか分かんないだろうし。
それからご飯を食べて、いつものように陸をお風呂に入れさせ、カバンの中身を綺麗にして1日が終わった。はぁ、眠い…最近寝ても寝足りないんだよなぁ。
◆
それは、まだ肌寒い日の夕方のこと。陸が部活に向かうのを見届け、今日の予定をたてながら寮へ向かっていた。でも、その日の夕日がスッゴく赤くて綺麗だったから、一度止まって校舎を見上げたんだ。
いやね、毎日動いてるとふと景色を眺めたくなるんだよ。ボーッと見てると癒やされるんだよ。でも…、
「え、何アイツ…!?」
いやいや、おかしいでしょ!だって屋上ってパスワード制で一般生徒は入れないんじゃ…それよりもどこに立ってんのアイツ!数センチしかないフェンスの上…人の影がある。しばらく呆然としちゃったけど、ハッとしてもう一度校舎に戻った。
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