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「……黙れクソガキ共が」
『『キャー痺れるーっ』』
「ぅ、わ…行きたくねー…」
男のくせに何がキャーだ痺れるだ。湖東先生がキレただけで嬉しそうに出来るなんて…っ…Mっ気があるのか!?こんなにたくさん!?ああもう、そんなんで将来ちゃんとお嫁さんがもらえるのか…?第一、こいつらのご両親はこれを見て何とも思わないのだろうか…?
「おい…四月一日?」
「優、センセー呼んでるぜ?」
「あ…今行きます!」
「ったく、シカトされたかと思っただろ?」
「はは、そんなまさか……あの、手…」
「んぁ?どーした?」
いや、どーしたじゃないですよ。背中を押されなくても歩けますから。…とは思ってもいわず、その手に促されるようにして歩く。やめろだの何だのと色々めんどくさくなるからね、よほどのことじゃない限りやらせておくんだ。湖東先生だけじゃなく他の人でも。
『滋賀先生すてきーっ』
『キャーこっち見てー!』
『その平凡に触んないで下さぁいっ』
「……チッ、マジうぜぇな。いっぺん懲らしめてくるか…」
「ちょ、俺は気にしてませんからっ!湖東先生も怒らないで下さいよ…っ」
「まぁ…お前がいうなら仕方ないな。何かあったらすぐいうんだぞ、優」
あなたがこの手を退かしてくれるだけで十分周りの見方は変わるんですが。
……この人、滋賀湖東先生は俺たちの担任で、英語の教師をしているとっても人気のある先生だ。けれどどうしてこうなったのか…表と裏?二重人格?とにかく俺と他の生徒だとその差が激しい。陸の中ではホストセンセーとヤクザセンセーって分けてるらしいけど。
ただ大人としての常識はあるのか、大勢の前では名字で呼んでくれるのが、まだ助かってるところ。はぁ、今日は何いわれんだか…。
「ほらコーヒーだ。クッキーもあるから好きなだけ食えよ」
「ありがとうございます。でも俺だけ差別っていうのもどうかと思いますよ?」
「いいんだ、優は特別だ」
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