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……って、人が思ってるってのに弁当勝手に広げて…まぁいいんだけどさ。お昼休みもそんな長くはないから。それに自分が作ったものを楽しみにしてくれるのは嬉しい。
「いやーいつも悪いねまさっちゃん!」
「いーよ、1人分作るのも2人分作るのも一緒だし、ちゃんと材料費も出してくれてるし…」
「し…?」
「……美味しいっていってもらえんの、嬉しいからさ」
「っ…この卵焼き!すっげー俺好みでうまいぜっ」
「はは、どーも」
(本気で美味いんだけどな…)
慌てて付け足したようにいってくる陸に笑って返し、自分で入れてきたペットボトルのお茶を机の上に置く。ほとんどが食堂に食べに行くから、お昼って結構静かでいいんだよね。あの "集まり" も一々気にする必要ないし。
「……優、どうかしたか?」
「あ?……何が?」
「いや、ボーッとしてっから…はっ!ついに優にも春が…!?」
「……はぁ、違うから。夕飯は何にするか考えてただけ」
「あ、じゃあ俺カレー食いてぇ!」
「ん、カレーね」
たくさん作ってその次の日もカレーでいっか…よし、そうしよ。陸に聞けば食べたいものがすぐ返ってくるからべん…助かる。あれって料理してる側は何作るか困るんだよな。ご飯を一口咀嚼しながらそんなことを考える。
………って、
「もう食ったのかよ」
「優が遅いんだろー?」
「遅くて悪かったな」
ゆっくりしっかり噛んだ方が色々体にもいいんだよ。けれどまだ食べてる俺をあまりにも見てくるから、卵焼きを一つだけあげてみた。
……うぁ、もう、そんな嬉しそうな顔して。ほんと作りがいがあるなぁ。
「んぐ、次の授業なんだっけ?」
「次…は湖東先生の英語だな。陸当たるだろ」
「ゲ、マジかよ!優助けてくれーっ」
「どーしよっかなー」
◆
──キーンコーン…
「……今日はここまでだ。四月一日、話があるからついてきてくれ」
『えーズルーイッ』
『僕を呼んで下さぁい』
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