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「優くんっ」

「僕からもお願いするよ。……あ、僕も大地でいいよ」

「ゔ…っ、」


 左手を姫鵜先輩に、右手を大地先輩に握られてつい頷いてしまった。しょうがないじゃん。姫鵜先輩の上目使いは断る要素0だし…これ、大地先輩にいたっては絶対天然だよね。凄く優しく手が包まれて、キラキラした笑顔でお願いされてしまった…。


「わーい、またね、優くん」

「は、はは…」

「外はもう暗いから気をつけてね」

「だい、大丈夫でーす…」


 断りきれなかった、朱雀先輩の机を見逃せなかった、紅茶を片付けた俺にいいたい。手当たり次第に世話見たら泣くはめになるよって。悪い人たちじゃないけど、ずっと平凡に暮らしていきたかった俺としては、最悪な出会いでしかなかった。

 寮までの帰り道、暗闇に紛れて涙したのはいうまでもない。







「ただいまー…」

「っ…優!おま、今までどうしてたんだよっ。帰ってきてもいねーし心配したんだぜっ?」

「あ、ごめん…今まで生徒会室にいて、さ…」

「……何かあったのか?」

「うん…ありまくった。ごめんな、今日は食堂で食おっか」


 泣き疲れたのか精神的に疲れたのか…多分両方だろうけど、とにかくテンションがた落ち。心配してくれたという陸にも満足な笑顔を向けれないまま、靴を揃えて自分の部屋に戻った。制服を着替えている間陸は外で待っててくれて、なるべく急いで着替えて陸のもとに向かう。


「お待たせ。せっかくだから竜也も誘ってこうか」

「俺はいいけど…本当に大丈夫かーぁ?」

「……ふはっ、ごめ、ありがとう。大丈夫だよ俺は」

「おう、後で話してくれよなーっ」

「覚えてたらなー」


 俺の顔を覗き込んできた陸があまりにも情けなくて、少しだけ疲れが吹き飛んだ。それから竜也の部屋まで走っていく陸に注意をし、出てきた竜也に抱き締められて死にかけながらも3人で食堂へ向かう。食べればものを零すし食べさせろってうるさいし…でも、なんか楽しかったからいっか。



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