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手に当たったのか、お盆を落として手を庇う先輩に近寄って様子を見ようと手を伸ばす。…けれど怯えて引っ込めてしまった。
「ゃっ…や、」
「や、じゃないです!熱いの手に当たったんでしょう?ほら、見して下さいっ」
「ぅわ…っ」
「ああ、赤くなっちゃってますね…すぐ冷やして下さい。小池先輩、アロエとかはありませんか?」
「……えっ、えっと…」
「あ、ちょっと空知先輩!こっちの片付けは俺がやりますからまず一番に手を冷やして下さいって」
「うぇ、ごめんなさ…っ」
「あーもー泣いてる暇があったら手を冷やす!はい行って!」
手を火傷してるのに割れたコップを片付けようとするなんて、もっと自分を大事にしてもらわないと。とりあえず水の音はするから冷やしてるだろうし…まずはコップからだよな。ゴミ箱にあった紙を数枚掴んで、そこに割れた破片を乗せる。しっかりまるめて…ガムテープとかあるのか?
「すいません、何かテープと…あと雑巾にしていいタオルありますか?」
「い、今探してくるねっ」
「あと救急セットみたいの置いてないんですか?」
「……ある。豪、そこの棚だ」
「はいはーいっと」
「四月一日君、これでいい?」
「あ、ありがとうございます。空知先輩の様子、見に行ってあげて下さい」
ガムテープじゃなかったけどそれを使ってさっきの紙をグルグル巻きにする。それから絨毯の上もペタペタやって細かい破片をとって、タオルでトントン叩いて紅茶を拭き取る。ああ、でももう結構染み込んじゃったかな…。
「………手際…いーなぁ」
「恩売っときてぇだけだろ…」
「……よし、とりあえずこれで我慢して下さいね。あ、空知先輩、手はどうですかっ?」
「えっ、す、少し痛い…」
「えーっと、アロエか何か……あ、あるじゃないですか。これ塗りましょうね」
「……ぅん」
救急セットから取り出して、空知先輩をイスに座らせて手に塗ってあげる。このままだとベタつくからガーゼも軽くしといてあげないと…うわ、細くて白い手だなぁ。ちゃんとご飯食べて外に出たりしてるのかな、折れちゃいそうだ。
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