2 「流すぞー」 「よしこーいっ」 ──ジャアアァ…ッ 「……って、目ぇ入った!」 「大丈夫、陸ならそれくらい何とかなるだろ」 「水みずミズッ」 「うわっ…ほら、洗えよ」 少し上の方からお湯を流してあげる。全く、流すっていったのに目なんて開けてるからこうなるんだ。とかいって、この学園じゃ一緒に風呂入ってる時点でおかしいんだけど。まぁそこらへんはみんな分かってくれてるよな?説明するのも一苦労なんだ…。 「……っし、じゃあ陸、せめて10分は入って体暖めてくるんだぞ」 「えー」 「えーじゃない。俺まだ皿洗い残ってるから行くよ」 「おぅ、ありがとな優」 「……ん、どういたしまして」 さてと、次はお皿か。もちろん洗浄機もあるけれど、俺は自分で洗う方が好きだ。なんか…洗い落とせてるーって感じがするだろ?…あ、でも、そもそもこの学園で自炊の方が少ないか。こっちの方が値段も抑えられるんだけどな…。 明日の朝は何にしよう。そんなことを考えながらお皿を洗い、約束を破って5分で出てきた陸の髪を乾かした。はぁ…いくら親睦会が終わったあとっていっても、まだ5月なんだぞ?風邪を引いたらどうするんだ。 「いつもわりーなー」 「そう思うなら自分でやれるようになってくれよ…」 「あ、そりゃ優がいるうちはムリだ」 「人に任せてばかりじゃ何も出来なくなるぞ」 「んー」 本当に分かってんのか?なんて、いいながらつい手を出しちゃう俺も俺なんだけどさ。 それからしっかり陸の髪を乾かして、次は俺が風呂に入る番。服を脱いで体を洗って湯船に入れば、1日の疲れが吹き飛ぶようだ。 「はぁぁ…気持ちー…」 ……あ、そういえば俺の紹介まだだっけ?俺は四月一日優。読み方が難しいかもしれないけど、ワタヌキ マサルだからよろしく。小さいころからよく名字はいじられてきたな…でも下の名前は気に入ってる。優しい子でありなさい、そんな願いが込められてるらしいから。 [*前へ][次へ#] [戻る] |