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「……んじゃ、今日はこれで終わりだ。解散」
『『せんせぇ、さよぉなら』』
「うぜぇどこのガキだ」
「はぁ…確かに。もう少し高校生らしい挨拶をして欲しいよなぁ」
「まぁまぁ、そう怒んなって」
「怒ってはないよ。ただ、もう少し自覚を持たないとあれが癖になったら将来どうするんだ…」
チラッと俺の方を見ていった湖東先生に軽く頭をさげ、カバンに物をつめる。残念ながら今日は竜也は来なかったけど、机も綺麗にしていつでも来れるようにしておいた。
さてと、帰って掃除しなきゃな。
「って陸、何て入れ方してんだよ」
「えー?」
「そうやってグシャグシャに入れるからチャックがしまんないんだろ?」
「だって俺、畳むとかムリだもん!」
「もん、じゃない。…ほら貸して、急いでるんだろ?」
「まぁな、バスケが俺を待ってるぜ!」
陸からスポーツバックを受け取って、制服を取り出す。HR中にジャージに着替えてるのも人としてどうかと思うけど、陸にとってバスケはかけがえのないものらしい。早く行きたそうにしてるのを横目で見て、制服をちゃっちゃと畳んだ。
ほら、全部ちゃんと入るじゃないか。それにしても教科書とか入ってないなぁ…。
「おっ、サンキ、」
「……おい、シガツツイタチはここのクラスか」
──ザワッ
『きゃあっ、山園様!』
『会長今日もかっこいいですー!』
『シガツツイタチ…って、日付?』
「ま、優…っ」
「おおお、俺知らないっ」
放課後、突如やって来たこの人はこの学園の会長である山園彰鬼先輩。金髪のロングにピアスにいかにもな人で、ランキングじゃなかったら絶対に会長になんてなんなかったであろう不良様。ひ、人を見た目で判断しちゃいけないけど、やっぱ怖いこの人…!
しかも何で俺!?読み方間違えてるけど、俺探してるよねっ?…ってみんなして俺を見るなー!
「あ?てめぇ……ったく、さっさと返事しろ」
「っひ、すみ、すみませ…っ、でも、あの、俺は…」
「生徒会室に来い、今すぐだ」
「っはい!!」
「おい、大丈夫かよ…?」
「……う、ん…陸は部活行って?ほら、俺なら大丈夫だしさ」
「優…」
「早くしろ」
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