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「いつも?」
「……いっつも死ねないの。いっつも失敗すんの」
「それは…心のどこかで死にたくないって思ってんじゃないか?良かった、生きててくれて」
そういうと、後ろで変な奴…と小さく呟かれた。お母さんとかはいわれるけど、変な奴ってのは初めてだな。まぁ、もうどうでもいいけど。って、ここか。
「失礼します…先生いますか…?」
「はいはーいって何!手なんかとっちゃっていやー可愛いじゃないの。もしかしてここ貸してくれとか?いいわよもちろん。私見てるけど気にしないでちょうだいっ」
「あ、あの…?ケガ診てほしいんですけど…」
「……あ、患者。じゃあそこ座って」
「ほら、田中」
田中を椅子に座らせてハンカチをとる。血は止まってるけど凄いことになってるな…顔とかにも血が飛んでるし、これ濡らして拭いてやるか。って、自分で服あげるくらいしろよな。…このYシャツはもうムリだな。
「あら、またアンタ?もう止めなさいっていってるでしょ?その髪もかぶるからやめてくれないかしら」
「……赤は、血の色だから」
「そんなこと知ったこっちゃないわよ。私とかぶってんのが気に入らないのよ、しかもロングだし」
「あの、手、大丈夫そうですか…?」
「ええ、傷は残るかもしれないけどね。それより…そのおでこ、どうしたのよ」
「あ、」
そういえば頭突きしたんだっけ。無事に巻かれた包帯を見てたら痛くなってきた…。つか保健室の魔物って、よくここに来てるって意味だったんだな。いつも失敗してるっていうのも嘘じゃなさそうだし…先生と仲良さそうだし。
この人、佐竹紅先生は、この学園唯一の女性だ。でも何でかオアシスにはならないんだよな、この保健室。襲われもしないし、たまに、入ってきたときみたいに奇行が多いらしいし。でもノーマルな俺にとっては癒やしかも…。
「俺は大丈夫です。部屋に戻って冷やしますし」
「そう、ならいいわ。それより…アンタが人と来るなんて初めてじゃない?いいわー平凡受け!これからもこの子と仲良くしてやってよ。それで私に萌えをちょうだいっ!」
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