[携帯モード] [URL送信]



「いつも?」

「……いっつも死ねないの。いっつも失敗すんの」

「それは…心のどこかで死にたくないって思ってんじゃないか?良かった、生きててくれて」


 そういうと、後ろで変な奴…と小さく呟かれた。お母さんとかはいわれるけど、変な奴ってのは初めてだな。まぁ、もうどうでもいいけど。って、ここか。


「失礼します…先生いますか…?」

「はいはーいって何!手なんかとっちゃっていやー可愛いじゃないの。もしかしてここ貸してくれとか?いいわよもちろん。私見てるけど気にしないでちょうだいっ」

「あ、あの…?ケガ診てほしいんですけど…」

「……あ、患者。じゃあそこ座って」

「ほら、田中」


 田中を椅子に座らせてハンカチをとる。血は止まってるけど凄いことになってるな…顔とかにも血が飛んでるし、これ濡らして拭いてやるか。って、自分で服あげるくらいしろよな。…このYシャツはもうムリだな。


「あら、またアンタ?もう止めなさいっていってるでしょ?その髪もかぶるからやめてくれないかしら」

「……赤は、血の色だから」

「そんなこと知ったこっちゃないわよ。私とかぶってんのが気に入らないのよ、しかもロングだし」

「あの、手、大丈夫そうですか…?」

「ええ、傷は残るかもしれないけどね。それより…そのおでこ、どうしたのよ」

「あ、」


 そういえば頭突きしたんだっけ。無事に巻かれた包帯を見てたら痛くなってきた…。つか保健室の魔物って、よくここに来てるって意味だったんだな。いつも失敗してるっていうのも嘘じゃなさそうだし…先生と仲良さそうだし。

 この人、佐竹紅先生は、この学園唯一の女性だ。でも何でかオアシスにはならないんだよな、この保健室。襲われもしないし、たまに、入ってきたときみたいに奇行が多いらしいし。でもノーマルな俺にとっては癒やしかも…。


「俺は大丈夫です。部屋に戻って冷やしますし」

「そう、ならいいわ。それより…アンタが人と来るなんて初めてじゃない?いいわー平凡受け!これからもこの子と仲良くしてやってよ。それで私に萌えをちょうだいっ!」



[*前へ][次へ#]

12/173ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!