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「よ、よかっ…」

「な…にすんだよ!どーしてくれんの!?また死ねなかったじゃんか!邪魔すん、」


──バチンッ


「お前…死ぬとか簡単に口に出すなよ!命軽く扱うな、よっ…ぅぐっ」

「何で…泣いて、んの…」

「ひっ、怖かった…うぅ、無事で良かった…!」


 本当に心臓が止まるかと思ったんだ。だからここにいて、まだ死のうとする田中に思わず頭にキてしまった。命を粗末にするなんてしちゃいけない。神様から、ご両親から授かったこの世に一つしかない命なんだ。どんな理由があろうと諦めて捨てるなんて、しちゃいけないんだ。

 まだ手が震えてて、一回溢れ出た涙もなかなか止まらない。それでも目の前で手から血を流してる姿を見て、泣きながらハンカチでそこを縛り上げた。


「もっ、こんなことするなよぉ…死にたいとか、悲しいこというな…っ」

「……何で見ず知らずのアンタがそこまですんの。偽善?」

「そう思うならっ…それで、いい。でも俺、人が死ぬのなんか見たくないっ」

「じゃあ出てきゃいいじゃーん?ははっ、ねぇねぇねぇ!真っ赤に飛び散る血、見てみたいんだよ」


 手についた血をペロッと舐めて挑発的に見つめてくるその目。怖いとか何よりも、こっちの話を聞こうとしない田中に…ムカッときた。すぐ近くにあった頭に向かって、自分の頭を振りかぶった。


──ゴンッ


「っ゙!?」

「い゙っ…く、お前の命はお前だけのものじゃない!生きなきゃダメだっ、噂なんて気にするな!」

「……は…」

「血なんて見てて気持ちのいいもんじゃないだろ。ほら、保健室行ってちゃんと治療しよう」

「ちょ……え、何なんだアンタ…」

「1ーBの四月一日優。よろしくな」


 目を丸くしてる田中を連れて屋上を出た。人前に出る前に一応涙のアトだけ拭いて保健室に向かう。腕を掴んでるからか抵抗もなくちゃんとついて来てくれて、チラッとみたとき、サラサラ揺れる赤髪の向こうで戸惑いの目をした田中を見た。


「……ごめん、何があったかなんて俺知らないのに…」

「いや…ビックリはしたけどいつものことだし」



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