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 俺の中の全力で走って、エレベーターのボタンを連打する。周りに痛い目で見られてるけど、そんなの気にしてられない。あんな所に立つなんて危なすぎる。わざとだとしても仕方なくても止めなきゃ…っ。


「ああ遅いっ!だから嫌なんだっ」


 楽だけど自分の好きに動けない。しかも乗ったのはいいけどこれ屋上まで続いてないじゃん!…それにこの隅、埃が溜まってる。だからロボットにはムリなんだって、汚いなぁ…。

 えっと…屋上へはこの階段か。周りが見てる中行ってみれば、パスワード入力機械が壊されてるのが目に入った。こういうのって結構高いのに何てことするんだ。おかげでドアの鍵、開いてるけど…。


──バンッ!


「っ…そそ、そこの人…っ!」

「……んー?ははっ、何、なーんでここ来ちゃってんのアンタ」

「そ、そっちこそそこで何して…っ、あれ……田中竜也?」

「あっはは、俺知ってんの?くっ、ははは、チョー運命!な、見届けてくれよっ、俺が死ぬとこさ」


 フェンスの上をフラフラ行ったり来たりする不気味な笑顔の赤髪。この前陸に聞いた田中だ。何コイツ…正直いって、この雰囲気が凄く怖い。左手首を切ってるのか、大袈裟に振る手から血が飛び散って、思わず足が竦んだ。

 でも、コイツなんていった?俺が死ぬとこ見てくれ…って、え、死のうとしてるのか、マジで。


「あぶ、危ないからこっち降りてこいよ…ぉっ」

「死ぬのに危ないもねーじゃん。何、アンタが怯えてんの?くはっ、チョー意味不」

「し、死ぬとか簡単にいうなっ!」

「死にたいの。もー死なせて欲しいの。…俺が死ぬとこ、見てて?ほら、ほら…っ」

「っ…た、田中!!」


 バカみたいに笑って体を傾ける田中に、俺は思わず飛びついた。唯一届く足を掴んでムリヤリこちらに引きずりおろす。この際背中をフェンスにぶつけてたのは見なかったことに…!

 ドサ、どころかドカッと2人でもつれるように倒れ込んで、そこにいた田中を触ってここにいることを確かめた。



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あきゅろす。
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