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*日常的なことを苦労とは思ったことがない。


「んじゃー俺さき風呂入るぜっ」

「ちゃんと洗えよ?湯船も入るんだぞ」

「ちょ、優…俺を何だと思ってんの」

「……風立陸?」

「俺がそんな長く風呂入るわけねーしっ!」


 ……いや、分かってたけどさ、もういい加減1人でゆっくり暖まるまで入って欲しかったんだよ!だって聞いてくれよ、陸が風呂に入った10分後にはもうあがってくるんだよ!?それのどこが風呂に入ったっていうんだ。

 しっかり髪は洗えてないだろうし、体だって十分暖まらないだろ、そんなんじゃ。ただでさえ部活で体動かしてんだから、お風呂で疲れとらなきゃ次の日に支障が出るし。

 ってことで、


「……仕方ない。俺が洗うからゆっくり入ろう、な?」

「マジ?やった、優の洗い方うまいから俺チョー好き」

「はいはいどうも。俺としては1人でゆっくり入れるようになって欲しいんだけどね」


 そういって陸の背中を押して風呂場に向かった。陸が服を脱いでる間にシャワーを出して風呂場を暖めて、俺もズボンと袖を濡れないように捲る。

 ……あ、ったく…服は裏返しに脱ぐなって何回いえば分かるんだ。


「背中は流してやるから、体ぐらい先洗っててくれよー?」

「ウィーッス」

「よし、入るから気をつけて…って。あのさぁ…タオルくらいかぶせろよな」

「キャーまーちゃんエッチ!」

「ほら、もう少し前出て」


 体を洗ってた泡でわざとらしく隠す陸を少し前の方に座らせて、頭からシャワーをかぶせる。十分濡れたらお湯を止めてシャンプーを手にとり、陸の髪を洗い出す。金髪になんて染めるから少し痛んでんだよな…もったいない。


 コイツ…風立陸は、混合学園中等部からの友達で、ルームメイト。高校にあがってもクラスが一緒で、こうして部屋が同じなのは少し嬉しい。というより、安心だ。

 何を隠そうコイツ、お風呂が短いんだ。カラスの行水。ちゃんと暖まらないし、あがったらあがったで髪はそのまま。俺がいるから分かんないけど、多分片付けもあんま得意っていえる方じゃないね。だから他の人と一緒じゃなくて安心してる。



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