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U
しばらく歩き続けて着いた先とは…
「新羅の家?」
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ピンポーン
「はーい。」
ガチャっ
「何、静雄?また怪我でもしたの?
あれ?君誰を担いでいるの…って臨也?
え、何?どういう事??」
「悪い、頼む。」
いまいち状況がつかめていない新羅に静雄は臨也を渡しながらそっけない一言を残し部屋の奥へと入っていった。
「うーん…なに?またケンカでもしたの?」
「うん、まあね。しずちゃんが俺を殺さずにここまで連れてくるのは意外だったけど…」
「そう?」
「まあ殺さないにしても新羅のところに連れてくるのは想定外。」
「へえ。臨也でも読めないいことあるんだね」
「しずちゃんの考えは全然読めないよ。
全く解らない。まあそれでこそ嫌いで、おもしろいと思えるんだけどね…」
「意外とさ臨也って鈍いとこあるよね・・・」
静雄の気持ちや自分の静雄に対しての気持ちを全くといっていいほど気づいてない。
「なんか言った?」
「べつに?……はい。終わったよ。」
「さすが新羅、速いね」
「ならさっさと静雄を連れて帰ってくれないかな。
そろそろセルティが帰ってくるんだ。邪魔しないでほしいんだけど」
「ははっ、そうするよ。君らがいちゃついてるのを見る趣味は俺には無いからね」
そういって臨也が扉を開けると少し離れた壁に静雄がもたれかかって立っていた。
「終わったか。帰るぞ」
「しずちゃんに言われなくても帰るよ。
じゃぁね新羅」
「じゃーね」
ガチャッ
「じゃあねしずちゃん」
「…」
返事はなし…か…。
一応礼くらいは言ったほうがいいのかな。でももともと怪我したのはしずちゃんのせいだし…
そして臨也が背中を向け立ち去ろうとすると
ふわっとこの二人に似つかわしくないような音が聞こえそうなほど静雄は優しく臨也を両腕で包み込んだのである。
「しっしずちゃん?」
「なんだ?」
「なっ何かしずちゃん今日おかしいよ。大丈夫?」
「何もおかしくなんかねえよ…。
………ずっとこうしてたかった。」
「え?っえ?何、ほんとどうしたの?」
柄にも無いことを言う静雄が、柄にも無く焦っている臨也を抱きしめているのだ。端から見ればどちらもおかしく、異様な光景だ。
「臨也。」
「なっなに?…しずちゃん。」
「好きだ。」
「…え?」
「ずっと好きだった。黙ってようと思ったがもう限界だ。お前が好きだ臨也。」
「っ意味わかんないんだけど…ずっと好きだったって?笑わせないでよ。知ってるでしょ?すべての人間を愛している中でしずちゃんだけが大っ嫌いだって。」
「ああ。」
「ならなんで?てゆーかしずちゃんも俺のこと嫌いだったよね?」
「前まではな。けどお前が笑ってると嬉しくなって、他のやつと話してるとどうしようもねえくらい胸が痛むんだよ。」
「じゃあ何で俺と合うと物投げてくんの?」
「もともとはお前がむかつくからだったが何回やられても変わらず俺に向かい合ってくるお前に少し喜びを感じちまったんだよ。まあそこで止めなかったのはこの気持ちがばれたくなかったのと…あと、このままずっとやりあいしてたかったってのもあるんだろうな……今日もそこまで大差なく終わると思ってたんだけどよ。何かお前転びやがるから…。」
「//////うるさいな。ちょっと足が滑っただけだし…///なら別にここまで運んでくれなくたってよかったんじゃない?」
「嫌なんだよ。お前が俺のせいで傷つくのをみるのは。」
そうは言うがこの言葉と普段の行動が一致していない。
「何度でも言うけど俺は嫌いだよ、しずちゃんなんて。」
「そうか…悪かったな」
そういいながらそっと腕を解く静雄の顔は傷つているように見えた。
ズキンッ
なにこれ。俺しずちゃんの傷ついた顔見て何で俺まで傷ついてんの?…意味わかんない。しずちゃんのせいで俺おかしくなっちゃったみたい…
『お前が好きだ臨也。』
『嫌なんだよ。お前が俺のせいで傷つくのをみるのは。』
静雄の言葉が臨也のなかで何度も繰り返されそのたびに臨也の心をずきずきと痛めつけた。
…こんな気持ちになったの初めてだよ。これも全部しずちゃんのせいだ
………しずちゃんもこんな気持ちになったのかな…。
ああ、気づけばしずちゃんのことばかり考えてる。
―これが…恋?
俺は…しずちゃんが…す、き?
そう思うともやもやしてた心がすっと落ち着くのが分かった。例えるならば繋がらなかったパズルがすべて繋がった時のように、絡まっていた糸が解けた時のように…
「しずちゃん。」
「…」
そのまま立ち去ろうとしていたしずちゃんが足を止めた。
「ねえ」
ゆっくりと振り返った静雄の顔にそっと手を伸ばし背伸びをした。そして…
チュッ
「ん!?」
―キスをした。
「てめっ何のつもりだ。からかってんのか?」
「からかってしずちゃんにキスなんてしないよ」
「じゃあなんでだよ。」
「……気づいちゃったんだよねー
俺さ、しずちゃんのこと…好きだったみたい。」
「えっ…」
「はは、しずちゃん驚きすぎ、顔が間抜けだよ?」
「なっ、そりゃ、おまえがっ、」
「どもりすぎだよ。」
「…おまえっさっき俺のこと嫌いだって言ったじゃねーか…。また、からかってんのか?」
そういった静雄は期待と不安、戸惑いを隠せないような複雑な表情だった。
「からかってないよ。今気づいたんだ。俺は人間が好きだ。愛してる、でもその中でしずちゃんだけが嫌いだった。」
「……。」
「でもそれってさあ、ゆういつしずちゃんだけがトクベツだったのかもね」
「?」
「だからしずちゃんを他の人間と同じ枠に入れたくなかったのかなあって…」
「臨也…」
「あ、言っておくけど別にしずちゃんにベタ惚れしてる訳じゃないから、勘違いしないでね。」
そう言った臨也の頬は少し赤く染まっていて…
「臨也好きだ、」
「/////っ俺だって好きだよっ…てゆうかしずちゃんさあ、もうすこっ…」
またぐだぐだと話しかけた臨也の唇に静雄は自分の唇を落とした。
優しく、甘く、そして今までの思いをぶつけるように、激しく…
continue…
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2話目完成ですっっ
やっと両思いにさせられた・・・
またしずちゃんサイドも書きたいなあとは思ってるのですがもっと進めないと…
でもしずちゃんサイドが無いと話が繋がりませんよね・・・また今度でいいかな…なんて投げやりな自分に呆れます...
でわこの辺で・・・お読み下さりありがとうございました!
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