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―――夏―――

男子テニス部全国大会。
私もバレー部の練習とかで忙しくて決勝戦だけ見に行った。


雅治や兄貴が負けて、チームも負けた。悔しかった。

兄貴たちは負けたのに清々しい顔していた、けど、私は大泣きしてしまった。


「もう泣き止みんしゃい、深空」
「――っウ、だってぇ、」
「そうだよ深空。いい試合も出来たんだしね」
「――っ、うん……」
「よしよし」
雅治が頭を撫でてくれた。兄貴も、撫でようとしてくれたが雅治が払ったみたい。


立海が負けたのは悔しかったけど、みんなが良いんだったら私が“どうこう”言うことではない。



―――雅治や兄貴……他にも3年生たちの中学校生活での部活は幕を閉じた。




時は経ち、春。
卒業式シーズン。

ここ立海大附属中も例外ではない。

桜はまだ咲いていないが、梅の花が咲いている。小さくてピンク色で可愛らしい。
梅の香りも仄かにして、いい卒業式だったと思う。

卒業式が終わり私はまず、部活の先輩に挨拶しに行った。
みんな優しい先輩で、困った時はいつでも助けてくれる、そんな先輩だった。

先輩から最後に「ありがとう」って言われて少し泣いてしまった。
ありがとうって言葉の重みを少し理解した気がする。

先輩と別れたあと、テニス部の下へ行った。
半泣き状態だったけど、まだほとぼり冷めそうに無いので気にしなかった。



「まさはるゥゥゥゥ!!」

雅治の銀髪、チョロ毛が見えたから走りながら叫んでみた。
気付いた雅治はこっちを向いた。

そして私はそのまま、雅治の胸にダイブ。


「遅かったじゃないか!」
何故か兄貴が怒った。
兄貴に言われる筋合いは無いけど、
「部活の先輩の所に行ってきた」
そう私は答えた。


「バレー部じゃったっけのぅ?
………!!お前さん泣いとるんか?」

未だにほとぼりが冷めなくて、半泣き状態。

「先輩に何かやられたのかい!?」
兄貴は必死に聞いてくる。

「ちょっと、寂しくなっちゃ……」
うなって思って、
そう続けようとしたら、雅治や兄貴、真田さんや柳生さんにブン太くん、柳さん……みんな卒業なんだって今更自覚して、涙が出て来た。

バレー部の先輩には悪いが今度は少しじゃない。号泣といっても過言ではない程だ。



「どうしたんじゃ!?」
雅治が焦って声を掛けてくれる。

「なんだか今更になって雅治や兄貴、……みんなが卒業しちゃうんだって思って……」



私は“うわぁぁぁん”と赤ちゃんの様に声を上げて泣き出した。



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