1 ―――夏――― 男子テニス部全国大会。 私もバレー部の練習とかで忙しくて決勝戦だけ見に行った。 雅治や兄貴が負けて、チームも負けた。悔しかった。 兄貴たちは負けたのに清々しい顔していた、けど、私は大泣きしてしまった。 「もう泣き止みんしゃい、深空」 「――っウ、だってぇ、」 「そうだよ深空。いい試合も出来たんだしね」 「――っ、うん……」 「よしよし」 雅治が頭を撫でてくれた。兄貴も、撫でようとしてくれたが雅治が払ったみたい。 立海が負けたのは悔しかったけど、みんなが良いんだったら私が“どうこう”言うことではない。 ―――雅治や兄貴……他にも3年生たちの中学校生活での部活は幕を閉じた。 時は経ち、春。 卒業式シーズン。 ここ立海大附属中も例外ではない。 桜はまだ咲いていないが、梅の花が咲いている。小さくてピンク色で可愛らしい。 梅の香りも仄かにして、いい卒業式だったと思う。 卒業式が終わり私はまず、部活の先輩に挨拶しに行った。 みんな優しい先輩で、困った時はいつでも助けてくれる、そんな先輩だった。 先輩から最後に「ありがとう」って言われて少し泣いてしまった。 ありがとうって言葉の重みを少し理解した気がする。 先輩と別れたあと、テニス部の下へ行った。 半泣き状態だったけど、まだほとぼり冷めそうに無いので気にしなかった。 「まさはるゥゥゥゥ!!」 雅治の銀髪、チョロ毛が見えたから走りながら叫んでみた。 気付いた雅治はこっちを向いた。 そして私はそのまま、雅治の胸にダイブ。 「遅かったじゃないか!」 何故か兄貴が怒った。 兄貴に言われる筋合いは無いけど、 「部活の先輩の所に行ってきた」 そう私は答えた。 「バレー部じゃったっけのぅ? ………!!お前さん泣いとるんか?」 未だにほとぼりが冷めなくて、半泣き状態。 「先輩に何かやられたのかい!?」 兄貴は必死に聞いてくる。 「ちょっと、寂しくなっちゃ……」 うなって思って、 そう続けようとしたら、雅治や兄貴、真田さんや柳生さんにブン太くん、柳さん……みんな卒業なんだって今更自覚して、涙が出て来た。 バレー部の先輩には悪いが今度は少しじゃない。号泣といっても過言ではない程だ。 「どうしたんじゃ!?」 雅治が焦って声を掛けてくれる。 「なんだか今更になって雅治や兄貴、……みんなが卒業しちゃうんだって思って……」 私は“うわぁぁぁん”と赤ちゃんの様に声を上げて泣き出した。 [次へ#] [戻る] |