8
走っている最中、俺は無我夢中だったので周りの目など気にならなかった。
保健室に着くと俺は保健医を呼び、深空を見てもらった。
「どこかに頭をぶつけたみたいね…心配はなさそうね」
多分、叩かれて倒れた時にぶつけたのだろう。
あいつらいつか会ったら、殺してしまおうか……
「……!?頬が腫れてるじゃない!!
…………何があったの?」
「………」
答えられない。俺のせいで叩かれた、なんて……
「……分かったわ。氷で冷やしましょう」
保健医も何かを感じ取ったのか、追求はせず、氷の準備をし始めた。
取り敢えず、安心した。
追求されなかった事も、深空が大事に到らなかった事も。
「ごめんな……深空」
俺が深空に謝っていると保健医が氷を持ってやってきた。
「仁王君、もう授業の時間になるわよ。幸村さんの事は私に任せて行きなさい」
「………」
俺は頑として動かなかった。
「仁王君!!」
「深空の元にいるぜよ」
心配はいらないとはいえ、こんなになってしまったのは俺の責任だし、まだ深空と話し途中だ。
「………ハァ。しょうがないわね。今日だけ特別よ。私は先生に伝えに行くからね。2人でいなさい」
「……ありがとう……ございます」
保健医なりの配慮だろう。
この後、1時間半くらい保健医は戻って来なかった。
「………」
保健医が出てから1時間弱経った。
「………ん、…………仁王先輩……?」
深空の意識が戻ったようだ
「ここにいるぜよ」
「あ、あの私……」
何故か深空がもじもじしている。
「告白、しちゃいましたよね……?」
深空は告白した事を恥ずかしがっているようだ。
「あぁ……でも言ったじゃろ?俺も好いとうよ」
「………はい。私先輩にそう言われて、ビックリして。その後記憶がなくて…」
深空は頭を打った衝撃とビックリした衝撃で気を失ったのか。
「お前さんは気を失っちまったからのぅ。焦って保健室(ここ)に連れてきたんじゃよ」
「あ、あのスミマセン!!迷惑掛けてしまって」
「んじゃぁ、その代わりに俺と付きあいんしゃい」
「はいぃぃぃ!!?」
「だって俺ら両思いじゃろ?なら、良いじゃろ?」
「で、でも!!」
「……もうあんな目には合わせないぜよ…」
「……ッ…お、お願い、し、ます」
深空は涙を流した。
「ッ、う、嬉し、くてです、よ……」
「………深空」
俺は深空を抱き締めた。
「これからは名前で呼びんしゃい」
「はい。雅治先輩!!」
「あとタメ口じゃ」
「は…う、うん!!」
「好いとうよ……」
チュ
俺と深空の唇が重なった。
昔話でもしましょうか
(そして俺らは結ばれた)
*090111
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