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走っている最中、俺は無我夢中だったので周りの目など気にならなかった。



保健室に着くと俺は保健医を呼び、深空を見てもらった。


「どこかに頭をぶつけたみたいね…心配はなさそうね」

多分、叩かれて倒れた時にぶつけたのだろう。
あいつらいつか会ったら、殺してしまおうか……


「……!?頬が腫れてるじゃない!!
…………何があったの?」

「………」

答えられない。俺のせいで叩かれた、なんて……

「……分かったわ。氷で冷やしましょう」


保健医も何かを感じ取ったのか、追求はせず、氷の準備をし始めた。



取り敢えず、安心した。
追求されなかった事も、深空が大事に到らなかった事も。

「ごめんな……深空」


俺が深空に謝っていると保健医が氷を持ってやってきた。


「仁王君、もう授業の時間になるわよ。幸村さんの事は私に任せて行きなさい」

「………」

俺は頑として動かなかった。

「仁王君!!」

「深空の元にいるぜよ」

心配はいらないとはいえ、こんなになってしまったのは俺の責任だし、まだ深空と話し途中だ。

「………ハァ。しょうがないわね。今日だけ特別よ。私は先生に伝えに行くからね。2人でいなさい」

「……ありがとう……ございます」


保健医なりの配慮だろう。
この後、1時間半くらい保健医は戻って来なかった。


「………」

保健医が出てから1時間弱経った。


「………ん、…………仁王先輩……?」

深空の意識が戻ったようだ

「ここにいるぜよ」

「あ、あの私……」

何故か深空がもじもじしている。

「告白、しちゃいましたよね……?」


深空は告白した事を恥ずかしがっているようだ。

「あぁ……でも言ったじゃろ?俺も好いとうよ」

「………はい。私先輩にそう言われて、ビックリして。その後記憶がなくて…」

深空は頭を打った衝撃とビックリした衝撃で気を失ったのか。


「お前さんは気を失っちまったからのぅ。焦って保健室(ここ)に連れてきたんじゃよ」

「あ、あのスミマセン!!迷惑掛けてしまって」


「んじゃぁ、その代わりに俺と付きあいんしゃい」

「はいぃぃぃ!!?」


「だって俺ら両思いじゃろ?なら、良いじゃろ?」

「で、でも!!」



「……もうあんな目には合わせないぜよ…」


「……ッ…お、お願い、し、ます」


深空は涙を流した。

「ッ、う、嬉し、くてです、よ……」

「………深空」

俺は深空を抱き締めた。


「これからは名前で呼びんしゃい」

「はい。雅治先輩!!」

「あとタメ口じゃ」

「は…う、うん!!」


「好いとうよ……」

チュ


俺と深空の唇が重なった。

昔話でもしましょうか
(そして俺らは結ばれた)


*090111

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