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俺は屋上、裏庭を回った。だがどこにも居なかった。
「深空……!!どこにおるんじゃ…」
裏庭を見た後体育館裏へ向かった。
「――あ た うし よ」
何か声が聞こえる。まだ遠くてよく分からない。
俺はスピードを速めた。
「調子にのるなって言ってんのよ!!このブス」
「優しくしてもらってんのは、幸村君の妹だからよ!!勘違いしないでよね!!」
体育館裏に近付くに連れ、罵声がはっきりと聞こえてくる。
「私、調子になんかのってません」
深空の声が聞こえた。
「それに、あな――」
でもその言葉を遮るかの様に“バシン”という鈍い音が響いてきた。
そして、地面に倒れ込む音が聞こえてきた。
「深空!!」
俺は曲がり角を曲がって、体育館裏へ着くと同時に深空の名前を叫んだ。
そして、深空の元へ走った。
「深空!!大丈夫か!?」
「はい。平気です、よ」
平気なはずがない。
顔が真っ赤に腫れていた。
なのに深空は心配掛けまいと、痛みを堪えて笑って見せた。
「……深空………」
俺は深空の頭を撫でると、深空を叩いた女共を睨んだ。
「に、仁王君……私たちは――」
「黙りんしゃい。
俺がキレる前に失せるんじゃのぅ……?
じゃないとその酷い顔もっと酷い事にしてやるぜよ」
そう言って、もっとキツく睨むと、女共はヒィっと真っ青になり逃げていった。
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