2 暫くして日も落ちてきた頃。 「じゃあ、帰るかのう…」 「え、もう帰っちゃうの……?」 「明日は朝練じゃしのう」 「じゃあ今日はうちで夕食食べて行ってよ!」 「そりゃ悪いぜよ」 「平気だよ。今日は両親ともに帰ってくるの遅いから。だから兄貴と二人で焼き肉の予定だったし!」 「焼き肉か……」 雅治は焼き肉が好きだ。好きな食べ物は結構進んで食べてくれる。(私のお弁当はいつも食べてくれるけどね!) 私たちが夕食について話していると、バン!と急に音がした。ドアが開いた音だった。 「折角、深空と2人きりの夕食なのに、何で仁王も一緒に食べるんだ!」 予想通り……そこに立っていたのはやはり、兄貴だった。 「また勝手に聞いてたの?止めてよ!」 「僕は反対だよ!」 スルーか……最近兄貴は私の事をスルーすることが多い。兄貴のくせに許し難いね……! 「じゃあ一緒にさせて貰うかのう」 「仁王!僕の話し聞いていたのか?」 「聞いてたぜよ。でも深空が良いって言っとるんじゃ、彼女とずっと一緒に居たいと思うのは当たり前ぜよ」 「でも―――」 「お兄さま、お願い!」 必殺、涙目&上目遣い!よく分からないが、対兄貴用として、柳さんが教えてくれた。滅多な事がない限り絶対に遣わない方が良い、と言われているが今はその滅多な事だろう。 「「(か、可愛いすぎる……!)」」 「ど、どこで、そんなもん知ったんじゃ?!」 「え?柳さんだけど……」 「くそ、蓮二の野郎……これじゃダメなんて言えないじゃないか!」 「て、いうことは……?」 「……良いよ…………」 「やったぁ!ありがとう兄貴!」 そしてありがとう、柳さん。上手くいったら連絡をくれって、言ってたから今度伝えなくちゃ。これで、私たち3人は一緒に家で焼き肉をする事になった。お肉や野菜は午前中に6人前で買っていたので、1人増えても全然構わない。何故6人前なのかだって?それは、ただの買い置きだよ。明日は買い物行く暇があんまりないから、明日の分も買っておいたのだ。明日はちょっと大変だろうけど、後悔はしない。だって雅治と一緒に夕食を食べられるんだもんね。 ―――後半へ続く *091006 [*前へ] [戻る] |