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アリス小説
刻限を告ぐ針 1
エリアリ


手を繋げば、温もりが。
笑いかければ、微笑みが。
心には、心が・・還ってくるから。

私と何一つ変わることが無い、そう思っていた。


「・・・・」
「そんなに珍しいか?」

突然部屋に訪れ、突然くっついた私に、驚きつつも、受け入れるエリオット。
その胸に耳をぴっとりとくっつけ、固まってしまった私に、エリオットは首を傾げつつ、問いかける。
珍しくない・・
この世界では。
そういうことなのだと、彼の全てが物語る。
小首をかしげて、耳をぴょこぴょこと動かし、目をパチパチさせる。
その仕草全てが。

何一つ、変わらないと思っていたの。

私も、あなたも。
ただ、生きてきた世界が違っただけだと。

それにしても、その仕草、かわいすぎ。
でも、今日の私は、そんな事以上に気をとられている事項がある。

「・・どうやって、動いてるの?」
「は?」
「だって、ご飯だって食べるし、怪我をすれば血だって出るし・・」

あぁ、完全にパニックになってるんだ。
心のどこかがささやいた。

同じだと思っていたかったの。私

「何言ってんだ?アリス」
「・・あ・・ごめん。ちょっと、驚いて。」

ナイトメアの戯言と思いたかったの。

心音は、無い。
あなたの音は、時計の針の音。
時を告げる。
時を進める。
進んでしまう・・。

「そっか、アリスは余所者だもんな。全然違うんだったよな。あんまりにも信じられない話だったけど・・本当なんだなぁ。」

感心したような目。
でも、この世界では当たり前に浸透しているらしい。
彼の瞳にそれ以外の反応は見られない。
ただ、普段は逃げたくなるくらいキラキラしてる瞳が、陰りを帯びて発した一言に、また首をかしげることになった。

「ま、時計なんてあってもろくなもんじゃないけどな」

過去に、何かあったのだろうか?
でも、その時計が無ければ、エリオットは生きて入られない。
なのに、まるでそんなことは頭に無いような言い草。

「そんな事いって、時計がないと、死んじゃうんでしょ」
「でも、時計はずっと続くんだぜ」
「??」

不可解な言葉。
眉間にしわがよってしまう。

「そんな顔するなよ。眉間のしわって癖になるって聞くぜ。」
「あんたが、よく分からないことをいうから。」
「わかんないか?」
「・・この世界の命に対する態度は、全部、理解できないわよ。」
「そっか。」




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あきゅろす。
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