お題3-普通なんて知らない-A
有り得ないカーティスの行動に振り回され、今日は無理やりオアシスに来る羽目になってしまった。
あり得なさすぎる!!
当たり前だけど、悲惨すぎる戦闘。
カーティスは、涼しい風にご満悦のまま・・ぼんやり立ってるし!
「ちょっとカーティス!!」
戦闘中にも関わらず、怒鳴る。
剣はギリギリと、敵の攻撃を防ぎ、切り返す。
「何です?プリンセス」
「何です?じゃ、ないっ・・わよっ」
思い切り敵を押し返し、道具を入れた袋に手を伸ばす。
が、敵の方も素早い。
目前に迫るそれに、更にカーティスへの文句が出てくる。
「あんたのわがままで此処に来たんだから、手助け位しなさいよ!」
「え〜」
「え〜じゃない!普通はするでしょ!?」
「・・普通・・?」
首を傾げ、つぶやく姿が目の端にうつる。
そいえば、そんなものどこにもない相手だった。
攻撃をかわし、斬りつけた。
狙い通りの急所に潜り込む刃の感触。
何とか倒したけど…普段以上に傷だらけで、体力もギリギリだった。
その場に座り込んでしまう。
「大丈夫です?」
「そう見えるの?」
ぎっと睨むと笑顔で全然。と、言われた。
「少しは心配してくれたのかと思ったら・・そんなこと全然なさげね。」
「いやですねぇ。少しは思いますよ。」
緩やかな笑みに、半眼でその顔を見やる。
「倒れられたら運ぶのが大変ですから。倒れそうだったら言ってくださいね。回復位しますよ。」
座り込んでいたが更に突っ伏してしまった。
そうよね〜
カーティスだものね〜
突っ伏したままチラリとカーティスを見ると、大丈夫ですか?と、心配してなさそうにのぞきこまれた。
ああ、でもいっそこれでいいのかも。
普通じゃないから、好きになる余地もないし。
「・・・ほら、いつまでそうしてる気ですか?」
その声に、手でも貸してくれるのかしらと、顔を上げかけたが、カーティスの斜め上を行く行動は、そんなもん提供してはくれなかった。
「よいしょっと・・」
「うわっ!」
脇の下から腕を差し込まれ、そのまま釣り上げられた。
あり得んし!!
「さ、怪我の治療をして、奥に行きますよ。」
そのまま小脇に抱えられ、移動させられた。
私は荷物ですか!?
水辺に移動させられながら、“普通”なんて知る余地のない相手に、期待などするものではないと、胸に刻んだ。
その日からアイリーンは、諦めも肝心という言葉をよく口にするようになったと周囲は言ってるという。
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