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unendliche Melodie 26

「こっちだ。」

先導されて、またたかたかと・・
ていうか、タイロン、コンパスの違いに気が付いてほしいんだけど!
あんたはただの急ぎ足でも、こっちは駆け足。
とっても素敵な歩幅の差が・・ね!!ちょっと!!!
でも、助けられてる身で、文句は言えない。
つか、この速度で行かれると、しゃべりにくい。

「何か、この緊迫した感じ、物語の王子と姫の逃亡みたいっすね!」

あれ?痛さがレベルアップしてる。

「本当に、ウジでもわいてるみたいですね。一度その脳、ブチまかして戻した方がいいんじゃないですか。」

確かに・・
ライルさっきはごめん。
うん、漫才コンビとかじゃないよ。
ライルの突っ込みはそんなレベルじゃないよ。
ごめん。
ロベルトと同じレベル扱いして。ほんとごめんなさい。

「ははっこのまま本当にさらっちゃダメっすか?」
「・・・っ・・」

両腕をつかまれてるからできないけど、耳をふさぎたくなる甘ったるい声と、セリフと、笑顔の攻撃が!!
な、なんて男だ。
こんな時ばっかりどうしてそんな事言いだすか。

「結構、本気ですね・・やっぱりさっきやっとくべきでしたか」
「ライル、そのうち馬に蹴られるんじゃないか。」
「アイリーンは別にあなたをどうとも思ってないんですし、蹴られないでしょう。」
「お前ら、人が先導してるからって安心しきってんじゃねぇよ。」

タイロンのイラっとした声がする。
それはそうです。
対ロ確保して、先導して・・大変アレな会話がその背後でされている。
というか、アレなセリフをロベルト一人が垂れ流してる状況なんだけどさ・・。

「お、あれか」
「?」

目指す先には馬車。

「ちぇ、ここまでっすか。」
「そのようですね。まぁ、他にもまだやることは大いにあります。害虫駆除位、あなたにも手伝えるでしょう。」
「・・さっきから、虫扱いってどうなの・・」
「別に、虫レベルの扱いをしてあげてるんですから、ましだと思いますよ?虫けら以下の存在なんて、この世にいくらでもいるんですから。」

あははと、さわやかな笑みがこぼされる。
ちょ・・よくそれで王宮になんてこの人務めてられるわね・・。
この国大丈夫かしら。

「じゃ、また戻ってきた時こそは、俺のとこに来てくださいよ。アイリーン」
「は?」
「おい、ロベルトてめぇ」
「邪魔が少ないうちに言っちゃわないと、賭けには勝てないぜ。タイロン」
「やっぱり・・このまま・・」
「俺、本気ですからね?俺に賭けてくださいよ。次こそは」

イラっとし、こぶしを作るタイロンと、杖をまた構えようとしているライルを前に、ウィンクされる。
見た目だけは、王子様みたいなんだけどね・・。
でも、私はロベルトと違って夢見がちじゃない。
ていうか、これってモテ期っていうのかしら・・ね・・。
なら、人生で一番いらない時期かもしれん。
だれか、逃亡ってこんなものじゃないと、賛同してくれる声が欲しい・・・





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