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それは 壊れて いるかもしれない(カティアイ)

「恋愛ってどういうものなんですか?」

ありえない言葉が聞こえた気がした。
いや、聞こえた。
うん、聞こえたんだよ・・ね・・?
一瞬現実逃避しそうになったけれど、とりあえず、一言、言ってみる。

「・・・・今・・・レンアイって、言った?」
「はい。言いましたよ。そんな事聞き返すなんて、耳か頭でも、悪いんですか?」

うん。夢でも何でもないらしい。
ましてや、これが実はカーティス以外の人☆なんてこともないみたい。
だって・・こんな酷過ぎる言葉選びができるのは、この男くらいだわ。
ありえないくらい汚い言葉な上、失礼極まりない。
笑って、別に他意も無く、そう言う言葉をはいてくれる男なんて、他にいてほしくもない。

「耳も頭も絶好調よ。」

いっそ壊れていてほしかったけど。
さっきの、あの一瞬だけ。

「それは良かった。」

本当にそう思っているかも怪しい笑み。
こいつ・・・ちょっとくらい良かったと思ってなかったら、殴ってやりたいわね。
そう思いつつ、話をとりあえず促すことにする。

「で、何でまた、そんなこと思った上、私に聞くわけ?」
「何でかはさて置き・・」
「置かないでよ!」
「恋多きあなたなら、そう言うものもわかるように教えてくれる気がしたので、聞いてみました。」

人の突っ込み無視で、にっこりと微笑まれた。
この男は・・・

「恋多きって・・」
「多いでしょ」
「別に多くないわよ」
「多いですよ。」
「どこがよ。」
「だって、数か月前まで彼氏がいらっしゃいましたし。その前は・・」
「わー!!ちょ、ちょっと、待って待って、あんた、どこまで知ってんの!?」

慌てて言葉をさえぎる。
そんな、自分の恋愛遍歴をこの相手が知っているとは思えないけれど、というか、思いたくないけれど、でも、カーティスなら知っていそうで・・不安大ですよ・・?

「どこまでって・・」
「・・・」
「あなたが付き合ったことのある人の人数と、名前と、身元・・くらいでしょうか?」
「くらいって・・」

ばっちりじゃんか。
そんだけ知っていれば十分・・というか、それ以上の事は知っていて欲しくないわよ。
つか、知ってたらありえないわよ。

「あ、疑ってますか?じゃぁ、全員分の名前でも・・」
「い、いい!疑ってないし!言わないで!!!それより、恋愛についてって、なに?どういう事を知りたいのよ?」

悲鳴をあげてさえぎって、カーティスの質問内容を掘り下げる。

「どういうこと・・とは?」

何とかカーティスの意識もそちらに行ってくれて胸をなでおろす。

「恋愛がどういうものか〜なんて、曖昧すぎて答え辛いわ。」
「あぁ、なるほど。そうですね・・・じゃぁ、どういう状態が、恋をしているということなんですかね?」

これまた似合わない単語・・・。
恋だって!!!!

「そ、そうね、まずはその人の事が気になりだすっていうのが第一歩・・か・・しら?」
「・・・何で疑問形なんです。」
「いや、気の所為よ!」

思いっきり目をそらしてしまう。
そんな私をはーティスはじっとみつめてくる。

「なんでもいいじゃない、で、気になりだした後は、そのを自然に目で追っちゃうようになるの。で、後は、一緒にいるとふわふわした感じになったりドキドキしたり、突然イラっとしたり、感情の起伏をうまくコントロールできなくなったりとかしたら、もう、確実にその人を好きな状態なんじゃないかしら」

一気に言い募る。
ハッキリ言って、適当だ。
そんなの言い切れることじゃないでしょ。
と、内心思うわけだけれど・・・まぁ、でも、結構間違ってもない気もするから、いいか。
それに、変に私の話題に来るよりは絶対マシ!

「なるほど・・・気になりだす・・・ね・・・・う〜ん・・でも、あれは契約で・・でも関係ないんですかね・・・そんなものかな・・・」
「カー・・ティス・・?」

名前を呼んで顔を覗き込むが、反応はない。
カーティスは自分の世界に入り、ぶつぶつぼそぼそ呟いている。
良くわからない・・。
壊れてない?この人

「で、なんでしたっけ?」
「!?え?な、何が??」
「ですから、その人の事が気になりだして、その次です。」
「あ・・えと、目で追うようになる・・?」
「あぁ、そうでした。ふむ、なるほど・・で、感情の起伏・・」
「・・・・」
「・・・・」
「な・・・何?」

またぶつぶつと呟いた後、なぜかカーティスはじっとこちらを見つめ始めた。

「・・・っ・・」
「???」

そして、見つめ返していたら、いきなりぷいっと顔を斜め下にそらした。
なに?
全くわけがわからない。

「あんまり、見つめないでください。」
「は?」
「恥ずかしいじゃないですか。」
「え???」

本当に壊れた?

「どうしちゃったの?カーティス」

わけがわからない。
その顔を覗き込んでいたら、手の甲に手が重なった。
疑問に思い、その手に視線を落としたら、そっと、頬に手が添えられた。

「え??」

顔を上げると、いつの間にか、カーティスの顔がそこに。

「僕、あなたの事が好きかもしれません。」
「は・・?」

疑問符が浮かんでいる間に、かすめるように唇にやわらかな感触がした。
それが、なんだったのかようやく頭が追い付いて、色々衝撃的だった。
というか、衝撃が大きすぎる。

「色々まだよくわかりませんが、たぶん、あなたの事が好きなんだと思います。」

にっこりとほほ笑んでいる瞳が、眼前にある。
それ以外は、近すぎて見えない。
が、きっと満面の笑み何だろうという事がわかった。
それにしても・・この・・男は・・・・。

「だから、覚悟していてくださいね。」
「覚悟?」
「えぇ、あなたが他の誰かを見たりなんてしたら・・僕は、何をするか自分でもわかりませんから。だから、僕だけ・・」

イラっとした。
色々イラっとし過ぎて、殴るかけるか一瞬悩んだが、カーティスの言葉が終わらないうちに、重ねられていない手を伸ばし、ほんの少し、背伸びをした。

「・・・・・」
「・・・・・」

見開かれた目に、心中にやりとした。

「覚悟?何それ。あんた何にも分かってなかったのね。」

私もわからなかったけど。相手の事なんて

「スキよ。かも、とか、思う。とか、たぶん。とかじゃなく。あんたの事、私は好きなの。」

にっこりとほほ笑んだ。
みるみる赤くなるほほがそこにある。

「・・・!!!」

そしてまた顔がそらされる。
それがおかしくて、それから、思いもしない状態に、くすくすと笑いが漏れた。
のばしていた手をさらに首の後ろに回し、抱き寄せた。

「覚悟なら、あんたがしなさいよ。そのうち、『好きかも』なんて表現させないわよ。」

そんなあいまいな言葉で、キスをするこの男の神経を疑ってしまったが、それでもいいか、と、私も思ってしまったのだから、どうしようもない。
だって、こんな風にキス一つで自分を失うなんて、思わないじゃない。
だからいいわ。

「スキよ。」

笑交じりに重ねると、おずおずとカーティスの腕が私の背に回された。

戸惑っている。
惑っている。
惑わされる。

何でこんなやつ好きなんだろうと思うのだけれど、仕方がない。
冷たい眼も。
どうしようもない言動も。
そして、私なんかのキス一つで赤くなってしまうところも。
好きなんだなぁと思ってしまうのだから。

壊れた男を好きになって。
壊れているとしか思えない思考回路に自分もなっていて。
なら、まぁ、この恋心が壊れていても仕方がないのかもしれないなぁと、思ってしまう。

この男が好きだ。


だから、もし、壊れていても、かまわない。



**************
お読みくださりありがとうございます。
10000hit御礼小説として書かせていただきました〜。
かぼちゃさんからのリクで、『カティアイ』でした。
シチュなどなかったので、色々ごっちゃにしてみました。




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