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二人で囲む甘い食卓(カティアイ)


幸せな新婚生活。
襲撃者を倒したり。
たまに実践されるカーティスの奇行が時折あれど
基本平和な、二人だけの時間。
国を捨てて流れるのは、多分甘い、新婚生活。


「カーティス、買い物に行こう?」
「はい。アイリーン」

家の裏。
半分森で、半分庭になっているそこで、襲撃者の処理をし終わったカーティスは、爽やかな笑みで振り返った。

「今日は何を食べたい?」

そんなカーティスに、ニコニコと夕飯の話題を振りながら、戸締り確認をし、アイリーンは玄関へ向かう。

「僕は、アイリーンが作ってくれるなら何でも、喜んで食べますよ。」
「・・それって、凄く困る返答ね。」

外に出、手を繋いで歩き出す。
それは、どこで仕入れた知識なのか、カーティスからわざわざ、そうするのが世の恋人なんですよね?と、実践されたことの一つ。
手を繋いだり。
腕を組んだり。
手がふさがってしまうそれらは、暗殺者としては、あるまじき事なのに・・。
アイリーンはそれが嬉しかった。

「困りますか?」
「困るわね。だって、毎日毎食なんだもの。悩むわ・・」
「なら、今日は僕が作ってあげますよ。奥さん」

繋いだ手を更に引き寄せて、ごろごろとカーティスが頬を擦り付けた。

「作るって・・カーティス、料理できるの?」

そのまま行動を容認し、アイリーンは問う。
カーティスが料理・・毒でも盛られそうな、空恐ろしい構図。
でも、アイリーンは別にそんな懸念はしない。
ただ・・

「えぇ、これでも一人暮らしは長いんですよ。知ってるでしょう?」
「そうだけど、想像できないわね・・エプロン姿のカーティス・・」
「って、何でそこなんです。」
「え?だって料理にエプロンって必須なんでしょ?」
「・・・」

さすがプリンセス。
変なところで世間知らずである。
一般的な生活と言うものを、彼女は書物でしか知ることはできなかった。
そこがたまにこんな誤解を生み出している。
しかし、カーティスが正しくそこのところを突っ込むわけもない。

「じゃあ、今日はカーティスも分もエプロン買わなくちゃ。」
「そうですね。」

嬉しそうに笑うアイリーンに、そのまま頷いて市へ向かってしまう。



「ねぇ、どんなのがいい?」
「何でもいいですが、アイリーンとおそろいなら尚いいです。」

エプロンを前に、にっこにっことそれらを選ぶ。
淡い色のものが多く。
また、基本的に女性がすることを想定したデザインが中心で・・
シンプルなものでも、何となくかわいらしいものばかりそろっている。
それらが、そのカップルのうち、赤毛の男の方に着られる等とは、誰も思っても居ないだろう。
店主も、これなんてお嬢さんに似合いますよ〜などと、愛らしいものを勧めたりしてくれる。

「そう?えっと・・前確か買ったのは・・あ、これだったと思うわ」

ばっと棚から出したのは、確かに普段、アイリーンが調理の際使用しているものとおそろいのもの。
しかも、手に取ったのはちょっと色違いで淡いピンク色をしている。
そのエプロンは、飾り気はあまりないが、下の、スカートにかかる部分が、ギャザーがよせられて、ひらひらしており、かわいらしさを出している。
肩のひらひらは、あると邪魔だからと、紐の部分にちょっとかわいらしいレースが縫いつけられているものをチョイスしていた。
胸元の部分も、同じレースが縫いつけられている。

「色は違いますが、おそろいのですね。」
「他に色はあるのかしら・・」

探してみると、意外にも何色か淡い色合いのものが揃っており、少し楽しくなる。
アイリーンは、薄い水色を買っていった。
カーティスなら、何色がいいだろう?
しばし悩む。


「ありがとうございました〜」


二人はしばし悩んだ後、結局オーソドックスに白を選んだ。
まぁ、無難?に・・?
いや、すでにアイリーンとおそろいにした時点で無難ではないのだが。
その後市で材料を買い込み、準備は万端だ。

「アイリーンに喜んでもらえるように、頑張りますね。」

エプロン姿のカーティスが、にっこりと宣言する。
自分とおそろいのエプロンを身に着けた夫の姿に、密かにアイリーンはキュンとしながら、楽しみだわと、キッチンに向かうカウンターに腰を下ろした。
せっかくのエプロン姿で、せっかくの料理している姿だ。
そのまま出来上がるまで見ていたい。
それに、せっかくゆっくりできる時間。
同じ空間で、同じ空気を共有していたい。
慣れた手つきで素材を切り、混ぜたり、こねたり、火を通したり。
何となく、自分よりも器用にこなしているような気がして、気持ちはちょっと複雑だ。
でも、ひらりひらりとエプロンの裾を揺らしてそれらを作るカーティスは、可愛い。
ひたすらそんな事を思っているアイリーンに、突っ込みを入れてくれるメンバーは、ここには誰一人としていない。

「できました〜」

そんなこんなで、アイリーンが自分の思考に沈んでいる間に、何十分も時間が経ち、そう、カーティスが宣言していた。

「アイリーンに気に入っていただければいいんですが。」
「カーティスが作ってくれたものだもの、それだけで嬉しいし、また作って欲しいって思うわ。」

テーブルの上をセットし、食卓に着く。
スープやパンは、今朝アイリーンが用意したもののまま。
そこに、サラダと肉料理がプラスされている。

「さ、召し上がれ」
「いただきます。」

暖かな食卓を前に、手を合わせる。
カーティスが自ら作ったそれら・・。
アイリーンは何のためらいもなくパクリと、口に入れた。

「ん〜おいしい」
「本当ですか?」
「うん。凄くおいしいわ。ありがとう、カーティス」

満面の笑みに、カーティスも笑みを返す。

「なら、またアイリーンのために、ご飯を作りますよ。何度でも。」
「本当?」
「はい。あ、でも、良かったら今度は、一緒にやりませんか?」
「あら、楽しそうね。」

微笑みあい、次の食事が楽しみになる。

そんな二人の食事時。
何故か、カーティスが食事を作る日は、食事時に襲撃者が来なくなるというおまけつきで、二人の幸せな新婚生活は順調に時を重ねていくのである。





*************

かぼちゃさんからのリク、カティアイ新婚話でした〜
カーティスがエプロン姿で料理したり…という素敵なシチュエーションを、使いきれない感に泣けてきました。
こんな感じで宜しかったでしょうか?
私的には、森にザッカザッカと埋め立てをしているカーティスがお気に入りです。(酷
庭は多分、可愛らしいお庭です。
イングリッシュなんちゃらみたいな感じなんですよ。
一緒にティータイムすらそこでするのですよ。(笑)



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