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捧げもの小説
いちばん (2112hitリク)



いちばん




どうしてかな。
いつも君が一番なはずなのに、優先出来ない。
それは周りの友人も大切にしたいから。
もちろん、友人よりも君が一番大切で好きなのは当たり前なんだけど。

「さーかーえーぐーちー!」
「あ、水谷!どうしたの?」
「あのね、あのね、今度の休みに「栄口くーん!」

…!あ、やばいまただ。

「この前の古典の授業休んじゃったの。ノート借りれないかなぁ〜?」
「…あ、うん、いいよ。」

心では水谷と話をしたいと言ってるのに、な。
やばい、水谷が落ち込んでるのみせないようにしてる。わかってるのに…。

「ありがとぉ〜!そうだ、今度カラオケ行かない?」
「………え?」
「栄口君忙しそうだから誘うの迷ったんだけど…どう?」
「えっと…。」
「都合が悪いならいいのっ!」
「後ででも、いいかな?」
「うん、次の授業終わったら聞きに来るねっ!」
「手間かけてゴメンね?」
「いいの!じゃあ後でねぇ〜!」
「………水谷?」
「行くんでしょ、カラオケ。」
「さっき言いかけたのってなに?」
「いいよ、行ってきなよ。」
「…いいの?」
「しょうがないでしょ、俺より大事なお友達のお誘いだもん。」
「そんな言い方しなくても…。」
「俺が我慢すれば済む話だもん、何処へでも行ってきなよ。」
「…!」

本気で言ってるの?
それともそんな言い方したら怒るの知ってて言ってるの?

「じゃあ行ってくる。」
「…俺教室戻る。」
「そう。」
「………。」

カラオケ当日。
待ち合わせ場所に間に合う時間に起きたのに結局行く気になれなくて行かなかった。
水谷のことが気になって、行っても楽しめない自分が居そうだったから。
前日から体調が良く無くて迷惑かけるから。ってクラスメイトにメールで伝えた。
前日不調だったのは間違ってないから嘘はついてないけど。

…すれ違ったことは前にもある。
許せる許容範囲なら抑えられるのに、超える度に胸がもやもやして体調崩して涙が溢れる。
寂しさと不安でいっぱいで、自分を責める。

「どうしてあんなこと言っちゃったんだろう。」

また、涙が枕に伝った。

『ピンポーン』

こんな時に誰だろ?
家族は仕事だったり遊びにいったりでいないのに…。

「はい、どちら「栄口、開けて。」
「…なんで来たの?」
「心配だったから。」
「…大丈夫だから、帰って。」
「そんな涙声で言われても納得出来ないよ。」
「いいから、気にしないで。」
「泣きそうなの認めたね。」

もう泣いた後だよ。
今からまた泣きそうだけど。

「…どうしても開けてくれない?」
「………。」
「なら、聞いて下さい。」

水谷ならはじめに謝るかな…。
それとも別れを告げに来たのかな?
う、悲しくなってきた。

「俺ね、どうしようもない奴なの。栄口を欲張って傷付けて、甘えて、じこちゅーで…。なぁんにも良いところ無くて、ヘタレで。自分が傷付くのが嫌で、栄口にあたって…。」

自分で傷付く事言ってて平気な訳ないから、今ドアの前で涙ぐんでるかな…。

「だけど、栄口がね、俺の事きらきらしてる。って言ってくれたの、覚えてる?」

覚えてるよ、忘れる訳ないよ。
水谷の言葉はいつもきらきらしてて、大好きだから。忘れられる方が凄いよ。

「その言葉がね、何よりも嬉しくて、こんな俺でも輝いて見える時があって見てくれてる人がいるんだって思えたんだよ。」

付き合うちょっと前に言った君への言葉。
俺の方が忘れられてると思っていたのに。

「栄口にとってはほんの些細な言葉だったんだろうけど、俺には恋に落ちてた事に気付いたきっかけの言葉でもあるんだよ。」
「…っ。」

俺はインターホンからの声じゃなくて、君の声が直接聞きたくなって物音をたてない様に玄関に行った。

「…いつも我が儘ばっかり言ってごめんね。だから、わかれないでっ。」
「…?」
「見捨てないでっ。」
「…みずたに、泣かないで。」
「…えっ?!」
「開けるから、ちょっと待って。」

ドアを開けたら、俺より涙を溜めて今にも崩れ落ちそうな君がいた。

「さかえぐち、ごめんなさい。ごめんなさいっ!」
「わっ!」

俺に抱き着いて肩に涙が落ちてくる。
今までどっちが泣いてたのかわからないぐらい泣いてる水谷。
寂しくて不安だった心は消えて、目の前の水谷が愛しくて背中をさする。

「うぅっ、ゆるして、さかえぐちっ。」
「俺もごめんね、ゆるして水谷…。」
「さかえぐちが謝る事なんて何もしてないよっ、うぅ、悪いのは俺だよっ!」
「友達が大事だったからカラオケ行くつもりだったのに、結局行かなかったから。」
「そんなこと…。」
「誰と居たいのか考えたら水谷が一番なのはわかってたのに、言わなかったし…。」
「よかったの、カラオケ?」
「もう今更だよ?しかも、もしカラオケ行ってたらどうするつもりだったの?」
「栄口が帰ってくるまで待ってたよ。」
「…ありがとう水谷。」
「ううん、ありがとうは俺の方だよ栄口。」

あったかいなぁ、涙も、心も。
好きでよかった。
こんなに好きな人、他にいないよ。
友人、仲間、親友、家族よりもずっと心の奥深くに水谷はいるんだよ。
失ったら埋まらないぐらいの深さに。

「ふへ、栄口あったかいなぁ…。」
「水谷もだよ?」
「ふふ、なんだかおかしくなってきちゃった。」
「ね。紅茶飲む?」
「うん、いつもの頂戴?」
「砂糖と牛乳多めの?」
「美味しいでしょ?」
「俺がいれるからじゃなくて?」
「栄口がいれると美味しさが増すんだよ。」

「ふふっ、ありがとう。」

水谷と居るからきっと俺もきらきらしていれるんだよ。っていう言葉は、このあと過ごす、甘い時間のときに言おう。
そしたら水谷は、きらきらした言葉で返事をくれるかな?












…コメント…
なぁこ様、大変お待たせ致しました、2112hitリク完成しましたっ!

…いかがでしたか?
『水栄で切なめ→甘甘』というリクエストにそっていましたでしょうか?
文章が長くなり過ぎてしまってごめんなさい…。
でも、愛はたっぷり詰め過ぎたぐらいだと思っています。(笑


ハッピーエンドが好きな私にとって、このリクの最終地点をどれだけ甘々に出来るのかに気を付けました。

なぁこ様、もしも気に食わない点がありましたらいつでも返品可能ですのでお待ちしております!(笑
リクありがとうございましたっ!


≫完成
2009/7/24



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