詰め込み部屋 終身宣言《ロイアイ・エドウィン》FA ベースはロイアイ、ひょっこりエドウィン。ロイが大総統だったり二組とも結婚後設定だったり。ネタバレもありです、注意!! 10年後の未来。笑い飛ばしてくれたら幸い。 ある日曜日、マスタングが自宅で仕事をこなしていた時のこと。書斎のドアが開き、リザが姿を見せる。 「失礼します、ロイ」 「ああ」 「エルリック兄弟とミセスエルリックがお越しです」 「その為にわざわざ休みを取ったんだったな」 楽しそうに笑いながら席を立つマスタング。その机上の書類が処理されることは、今日はもうないだろう。 「よく来たな鋼の、アルフォンス、ロックベル嬢!」 「ロイ、エドワード君はもう鋼の錬金術師ではありませんし、ウィンリィちゃんもロックベルではありません」 「おいおい、もう耄碌してんのか大佐よう!!」 「貴様もな。大佐ではないと、何度言えば分かるのか」 「兄さん、せっかくお邪魔してるのに何言うんだよ」 軽快な嫌味の応酬などいつものことで、周りも特に気にした様子はない。リザとウィンリィなど、早速話し込み始めている。 「む、女性陣は既にあちらの世界か…」 「あはは、不満そうですね大佐」 「当然だ!せっかく金髪美女が二人揃っているというのに、何が悲しくて野郎の相手など…」 「フザけんな、あれは俺の嫁だぞ」 「うわー、男のノロケなんて聞きたくもないんだけど」 男性陣は少し殺伐とした立ち上がりだが、それも気のおけない仲である証拠。 「ウィンリィちゃん、少し失礼するわね」 「どうしたんですか?」 「お茶を淹れてくるわ。ほら、お喋りが始まってしまったから」 苦笑するリザの視線を追ってウィンリィが目をやったのは、子供のような顔で議論を交す錬金術師達。漏れ聞こえる会話はおよそ理解出来ない難しいものだったが、本人達は至極楽しげだった。 リザはするりと席を立ち、暫くして五人分のカップとティーポットを持ってきた。会話を遮らないお茶の出し方は、流石大総統付きの副官といったところか。 その後、五人で近況などを話し合っていると時間は穏やかに過ぎていった。 「さってと!大佐、俺達はそろそろ失礼する」 「ああ、またいつでも来るといい」 錬金術師達の話はやっと終わり、お茶を飲んでいたウィンリィはゆったりと立ち上がった。 「あら、もう少しいればいいのに」 「ごめんなさいリザさん、私達この後ヒューズさんのところに行くので」 「お邪魔しました」 丁寧に頭を下げるアルフォンスとウィンリィ、そしてマスタングと握手を交すエドワード。 「ヒューズの墓とグレイシアに宜しく伝えてくれ」 「ああ、そちらさんも元気で」 扉から消えた三つの背中は、もう十分に大人だった。 「結局、彼らは何の用事だったんです?」 「いや、それが本当に私達の顔を見に来ただけらしい。中央に旅行に来たついでと言っていたな」 マスタングはリザに、自身も不思議であるように答えた。各地を飛び回る根なし草のイメージは、なかなか消えてくれないものらしい。 「鋼のも今年で26か。身を固めて田舎に引っ込んでるなんて信じられん。 そう言えばあの子らが私を大佐と呼ぶから、今日はなんだか若くなった気分だよ」 「ええ、私も中尉と呼ばれますから」 リザは楽しげに口を開く。マスタングは自分の前にある冷えきったお茶を煽った。 「彼ももう小柄ではありませんし、顔つきも精悍になりましたね。まだ子供だと思っていたのに」 「中央に残るんじゃないかと期待していたんだがな。昔一度だけ軍属にならないかと誘ったんだが、即答で断られたよ」 やれやれと首を振るマスタングの横で、リザがティーカップにおかわりを注ぐ。 「彼らは何と?」 「ああ、ありがとうリザ。それがなあ、全く気に食わないガキ共だよ」 『民主国家になったら仕事減るじゃねーか』 大人を試すような鋭い笑いが目に浮かぶようで、リザは思わず吹き出した。 「エドワード君らしいですね」 「アルフォンスまであの表情をするから困ったもんだ」 カチ、カチ。 まだ日も高い昼下がり、まるで普通の夫婦のように、二人で過ごす。 「リザ」 「はい」 「もう少しなんだ」 「ええ」 隣り合わせた二人は、ソファに背を預けたまま話す。 「中尉」 「…はい、大佐」 「忘れていないな」 「ええ。あなたが道を違えた時は、私が撃ち殺します」 後ろから、この手で。 そして、私自身も撃ち抜いてみせよう。焔の大量虐殺を、この人ひとりに負わせることのないように。 「民主国家になるまで、あなたは死ぬ訳にいかないんでしょう?」 「精々頑張るとしよう。付き合ってくれるね?」 「お望みとあらば」 「地獄まで、か。 そうだな、君が後を追ってくれるなら」 なかなかいい最期かもしれないなあ。 (人殺しの目をした軍人は)(我らで最後になることを祈って) ****** いち様リク《ロイアイ1日休暇》おうちでまったり編。 エドワードからガキっぽさを抜いたらそれはもうただのイケメンだという妄想から派生。と言いつついつまでもガキんちょなエドであって欲しかったり。 ロイアイは殺伐だけど愛はあるみたいな関係を希望。 全ての戦う女性に乾杯!!! [*前へ] [戻る] |