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詰め込み部屋
エンゲージ《愁焔》裏僕
裏僕より愁生と焔椎真。







「あれ、愁生?そのシャツ、釦が少しおかしくない??」

「いや、これでいいんだ」

「ならいいんだけど…」

そう、これでいいんだ。
焔椎真が頑張った証の、少し不格好なシャツの釦。見る度に俺の太陽を思い出す。
────────────



「愁生、シャツ脱げ!!」

部屋で本を読んでいると、騒々しく駆け込んでくる焔椎真。なぜ脱げと言われたか分からない訳ではなかったが、相方の言葉足らずをからかう意味も含めて、この間言った言葉をもう一度。

「いきなり何だよ、スケベ」

「す…っ!?違う、そういう意味じゃない!!十瑚に聞いたぞ、いいからシャツ着替えろよ!!」

「嫌だよ、このシャツ気に入ってるんだ」

軽く笑いかけながら言うと、うっと言葉に詰まる可愛い相方。

「そんな、ダサいのがいいのかよ…」

少し曲がった釦の列を見ながら、焔椎真が申し訳なさそうに呟く。

「関係ないよ、お前が縫ったのが着たいって言ったじゃないか」

今度は照れたのか、少し顔を逸らす。表情がくるくると変わり、見ていて飽きない。

「それに、これ着てるとお前が傍にいない時でも、一歩先くらいなら照らしてくれる気がするんだ」

シャツの襟を軽く掴み、ぎこちなく縫い止められた釦を見つめる。

すると、突然ドサッという音が聞こえた。目を元の位置に戻すが、焔椎真が見えない。少し視線を落とすと、顔を真っ赤にして床に座り込む焔椎真を発見した。

「何してるんだ」

「っ、たかが釦見るのに、なんつー顔してるんだよ」

なんと言っても唯一無二の相方が、俺の為に何度も失敗しながら縫ってくれた成果だ。知らない内に顔も緩む。

「お前の事を考えてるんだ、当たり前だろう」

「あーもう、いいからとにかく着替えろっ!!」

俺の言葉に耐えられなくなったらしい焔椎真が叫んで立ち上がり、部屋を出ようとする。扉が開く直前で俺は焔椎真を呼び止めた。

「なんだよ」

「どうしてもって言うなら、焔椎真が脱がせてよ」

ゴン。
焔椎真の身体がぐらりと傾き、額が扉にぶちあたる。見ている側としては面白いことこの上ないが、結構痛そうな音だった。

「大丈夫か焔椎真」

「ど、どっちがスケベだ───ッ!!!」

怒鳴るような声を出し、逃げ出そうとする焔椎真。とっさに立ち上がり、焔椎真の首に腕を引っ掛けて引き止める。

「まぁ落ち着けよ」

「落ち着けるか、この状態で!!」

もう焔椎真は可哀相なくらい真っ赤だった。離してはやらないけど。

「焔椎真──」

「なんだよ!!」

「風呂でも一緒に入るか」

ビシッと固まる焔椎真に、また笑みを一つ。

「背中くらい流してやる。
お前も目を逸らすなよ、ちゃんと俺を見るんだ」

俺の肌を、傷痕を。そうやって強くなるはずだから。
焔椎真を強くするのも、弱いところを助けてあげるのも、俺だといい。生涯、俺であるといい。
俺達が守るのは夕月だけだけど、それで焔椎真が死んだなら、俺は焔椎真の後を追う。
そんな関係でいられることが、唯一つの俺を生かす道。

「わかっ、た…」

囁くような頼りない声の太陽を暫く抱きしめていたのは、俺だけが知っていればいいことだった。






(生涯あの人を守り、)(あなたを愛すと誓います)


*****
リア友リク《愁生と焔椎真》。

なんか予想外のホモっぷり。
シャツの釦つけとか、こいつら新婚夫婦かwwって思ってるうちにこうなった。
題名はお互い尽くし合うみたいなニュアンスで。

私は鬼畜愁生信者です。

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