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詰め込み部屋
○○愛好家《藤アシ》ほけがみ




保健室でのお昼時、藤君の口の中に消えた僕の卵焼きを見ながら聞いた。

「犬と猫とハムスターだったらどれが好き??」

「何だ急に?」

美作君の疑問に返す程の理由もないんだけど。

「昨日やってたテレビに動物が出ててさ。三つとも出てたんだよね」

それで何となく気になって。
そう言うと、美作君は考え込むでもなく答えてくれた。

「俺は犬だな、忠実だからな!」

「へぇ、藤君は??」

「ハムスター」

「…お前なに勝手に答えてんだよ」

藤君にも問い掛けるが、答えたのはまたも美作君。藤君に蹴りを入れられていたが、めげずにもう一度口を開く。

「どーせハムスターだろ?テメーの趣味分かりやすいんだよ!!」

「まぁそうだけど」

「じゃあ蹴んな!!」

え、藤君の好みなんて、僕は全然知らない。
確かに美作君は意外と常識人で僕より頼りになるから、藤君は美作君には色々と話すのだろうか。

なんだか意味もなく凹んだ気分になって、そうなんだ、と返した。

「藤、メロンとリンゴとミカンだったらミカンだろ」

「そうだな」

「レトリバーと柴犬とチワワだったらチワワだろ」

「…まぁな」

「じゃ、オレを待つ女子達の為にクラス戻る!!」

意味不明な応答をしたまま、じゃーな、と美作君は本当に帰ってしまった。

「僕も少し用事があるから外すね。好きなだけいてくれて構わないから」

先生、いたんですね。いや当たり前だけど。
白衣が消え引き戸がパタンと音を立てた辺りで、僕は思わず聞いた。

「今の、何?」

「好みの話だろ」

ハデス先生が煎れてくれたお茶をすすりながら、藤君がサラリと答える。

やっぱりか…。
美作君は藤君のこと、沢山知ってるんだな。僕が知らないこと、沢山。
思わず険しい顔になりそうなのに気付いて、バカみたいな考えを振り払う。
美作君に嫉妬なんて、それも藤君のことでなんて、どうかしてる。

出来るだけ普通に、普通に。僕は話を続けた。

「へぇ、美作君は藤君の好み、よく知ってるんだね」

笑顔は崩れていないだろうか、内心ビクビクだ。
すると藤君がきょとんとした顔で僕を見る。
あ、ちょっと可愛い。

いや、男に対して可愛いって何!?

「美作に好みなんて教えるかよ。予想したんじゃねー?」

マヌケな考えはとりあえず忘れて。
それが本当なら、美作君は占い師でもやっていけると思う。

「全部的中なんて、すごいなぁ」

「法則があるからな」

頭をガシガシかきながら、何でもないように言う藤君。
法則って、何だろう…。
美作君が分かったなら、僕だって自分で気付きたい。だが、しばらく悩んでみても答えはでない。

「何だろう、ヒントある?」

首を傾げて見せると、藤君は口を開いた。

「犬よりハムスター、メロンよりミカン、レトリバーよりチワワ、共通点は?」

まるでなぞなぞだ。
えーと、犬よりハムスター、メロンよりミカン、レトリバーより…。


あ。


「小さいもの…?」

「正解」

僕を軽く見遣りながら藤君が告げる。

そっか、小さいものが好きなんだ。

「つーか美作が言ってたのは、お前への警告だぞ」

は?

「それってどういう…って、ふふ、藤君────ッ!?」

話をぶった切るほどびっくりしたことっていうのは、藤君の手が背中と頭に回って、僕の顔は藤君の胸へダイブ。

早い話が抱きしめられたってこと。

「俺は腕に収まるサイズが好きだから、取って食われないように気をつけろ、ってワケ」

嬉しいような恥ずかしいような驚いたような、でもやっぱり嬉しいような。

結局言えたのは、一言だけだった。

「気付くわけ、ないよ…」

憎まれ口と言うには弱気過ぎて、喜んでいると言うには色気のない言葉。
せめて背中に回した腕で、何かしら察してくれるといいんだけど。






(次、一緒にサボるか)(だ、ダメだよ、一緒に授業出ようよ!!)(…今日だけな)






〜その頃の二人〜

「お、先生。アンタ空気読めたんだな」

「藤君に物凄い目で睨まれちゃってね…。あれで気付けないのはアシタバ君くらいでしょう」

「藤の奴、襲ってるかもしんねーな…」



(ばかっぷるのまわりはたいへんなんのです!)





******
リア友のお姉様リク《藤アシ》、ライブに同行していただいたお礼が少しでも出来て良かったです!!

藤君が活動的過ぎて自分で噴いた。
題名の○○には《小さいもの》を入れて下さい。

ほけがみ応援してるので終わらないで欲しいです。

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あきゅろす。
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