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詰め込み部屋
名残酒《ZS》海賊
海賊よりZSに頑張ってもらった。





いつものようにキッチンで明日の仕込みに精を出している時、扉を開けたのはアホ船長でもなくセクシー航海士様でもなく、見慣れた緑頭だった。

「よう、クソコック」

「どうしたマリモヘッド。生憎俺は今忙しいんだが」

トントンとリズムよく包丁を動かしながら答える。手元には太さの完璧に揃った野菜達。さすが俺。

「どうも寝付きがな。ちょっと酒でも付き合え」

刀を振り回しているか寝ているかのこいつが寝付けないなど珍しい。いっそ奇跡と呼んでもいいくらいだ。そんな珍事に免じて、俺は手を止め酒に付き合う事にした。


「テメェとサシってのも、随分久しぶりだな」

「俺はレディ達の相手で忙しいんだ、寝るか暴れるかの野蛮人と一緒にすんじゃねェよ」

お互いに酌をしながら、即席で作ったツマミを肴に酒を飲む。なんとはなしに話をしてみたり、ただ黙って酒を飲んでみたり。遠慮のいらない仲で飲む酒は存外に旨く、野郎の酌もたまになら悪くないと思ってしまった。

「オイ、そろそろ外明るくなるんじゃねえか」

「うぉ!?もうそんな時間かよ、仕込みも終わってねえのに!!」

マリモの声につられて窓を見遣れば、徐々に白んでくる空。時間を忘れるとはよく言ったもので、時計を見ることさえせずに飲んでいたようだった。

「じゃあそろそろお開きだな。俺は寝る」

「付き合わしといて自分だけ寝んのかよ!!」

「寝たきゃお前も寝ろよ」

「仕込みがあるっつってんだろうが!!」

バカに日本語で話そうとしたのが間違いだったらしく、意味不明な理論をしゃべくった後、席を立つマリモ。
俺はため息をつきつつキッチンに戻ろうとして、ふと机の上の瓶を見た。まだ少し残っている。野郎に散々付き合わされたあげく徹夜の哀れなコックに飲む権利くらいあるだろう、俺は瓶を持ち上げようとした。
のだが。

「お、まだ残ってんじゃねーか」

同じく気付いたらしいマリモが、一気に酒を飲み干す。

「ああ───ッ!!テメェふざけんなよ、俺が飲もうとしてたんだぞ!!」

「落ち着け、元々残念な顔が見るに堪えなくなってるぞ」

「黙れマリモヘッド!!」

マリモの言葉にますます機嫌を悪くした俺は、腕を組んで椅子にドカッと座り直す。そのまましばらく緑の頭を睨んでいると、急にずかずかと近寄ってきて、襟をとられた。

まずい、怒らせたか。そうでなくともコイツは喧嘩っ早いのに。
酔っているとはいえ、剣士とコックでは腕の鍛え方が違う。超近距離では、足技を使えない俺が圧倒的に不利だ。来るだろう衝撃に備えて俺は目をつぶった。

一秒、二秒…あれ、こない。五秒経った時、不審に思って俺は目を開けた。
そこに映ったのは、何故か緑の髪。

え、と言う前に、俺の唇は塞がれていた。

奴の唇で。

「ん、ん゙ぅ────ッ!!」

何度胸を叩いても離れない。俺のネクタイを掴む腕を押しても引きはがせない。どころか舌まで入り込んでくる。
すっかり息もあがり抵抗も出来なくなった頃に、ようやく開放された。

「ゼェ、おま、え、は、何して、ハァ、くれて、んだ、よっ!!」

まともに動こうとしない口を無理矢理に動かして抗議するが、当の本人は自分の唇を指で拭ってニヤリと笑う。


「酒、飲みたかったんだろ??」

後味だけでもおすそ分けだ。
楽しそうに笑うそいつに、酸欠と恥ずかしさで目眩がした。







(俺は女好き、俺は女好き…)(チョッパー、サンジが独り言病だァ!)(医者─ッ!!俺だ──ッ!!)


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リア友リク《ZSかSZ》、私はゾロを世界一格好いい男だと思っているので、ゾロに受けさせることは無理でした。

海賊では薔薇の発想がなかったので、これまた桜華にとりましては新規開拓。
慣れてからリベンジしたいジャンルです。

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あきゅろす。
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