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NL部屋
天才は壁が壁じゃないらしいので《順リコ前提順+木》
過去編より。圧倒的木日の中で、あえて順リコを探してみた。




「おい、木吉。お前さっきカントクのことリコって…」
「ん?ああ、何か駄目だったか??」
「だっ、駄目じゃねえけど」

なんとも分が悪い。ド天然を相手に、こんな情けない嫉妬をぶつけるほうが間違いというものだったのか。

「あ、もしかして日向の彼女か??だったら悪いことしたな」
「そうだったら良かったんだけどな…」

気に食わない相手に何を愚痴ってんだか。もしかしたら誰でもいいから聞いてもらいたかったのかもしれない。

「大体よー、気付けよ普通に!どんだけ鈍いんだよあのバカ!!」
「言えばいいじゃねーか、好きだって」

あっけらかんと笑って言う木吉。それが出来なくて悩んでる人間が世界にどれだけいると思ってるんだ。

「それが出来たら苦労してねーんだよ…」
「日向は意外と弱虫だな!」
「うっせー!」

そうだよ嫌われんのが怖くて、中学であれだけ仲良くしてたのにまだ告白もしてねーんだよ。自分の弱虫っぷりに自分で軽く引くレベルだっつーんだよ。

こいつだったら言うんだろうな。屋上で叫んだ時みたいに堂々と。いや、全裸で告白とか言ったのは俺だけど。
いいよなぁ、天才は。凡人にはあり得ないほど勇気がいるんだぞ。

「まあ、リコは日向の彼女ではないってことだよな?」
「何度も言わせんなよ、いじめかコノヤロ」

もう完全にやさぐれモードだ。俺ってつくづく心狭いな。

「じゃあさ、お前が告白しないなら、俺がするから」
「は…え!?」
「だから、俺が告白するから」

ちょっと待て、脳内処理が追い付かない。俺の今の愚痴を親身になって聞いといて、自分が告白するってどういうことだ。
木吉の顔を凝視するが、相変わらず腹の読めない表情をしている。本気なのかどうかさえ、さっぱり分からない。

「…好きに、しろよ」
「ん、いいのか??」
「そんなの俺に止める権利ねーよ。
ただ…」

これだけは言っておかなくてはならない。俺がどんなに弱虫でもヘタレでも。

「ただ?」
「カントクはやらねー。相手が無冠でも、キセキでもな」
「なんだよ、やっぱりかっこいいなお前」

またへらりと笑う木吉。俺なんて眼中にないと言いたいのか、もしくは全然別のことを考えているのか。
こいつはいつも、何か企んでる。実感したのはこの時だ。

「言ってろ天才、いつか喉笛噛み付いてやる」
「おいおい、仲間だぜ俺達」

楽しそうに歩くこいつに、まずは早く追い付かなくては。目標は、まだまだ遥か遠くである。




(手を伸ばしても届かないくらいが)(目標にはちょうどいいんだと)(ま、届いてみせるけど)


******
リハビリ作でございます。
過去編で、木吉のリコ呼びにムッとする日向いたよね??私の見間違いじゃないよね!?

この木吉は、リコには惚れてません、友愛です。

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あきゅろす。
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