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NL部屋
絶対必要条件《順リコ》
リコ様が冬を待ってくれない程スパルタだったら。
アレ、やりましょう。








「さぁ、みんな揃ったわね!?」

どこに揃ったかと言えば、屋上である。入部時に一度上った場所とはいえ、部員からしてみればもう二度と来たくない程がっつりと怒られた場所だ。

「マジでするのかよ、アレ」

「つーか先輩達も去年したのか?」

「いや、去年は創部一年目で決勝リーグだから、目標達成してた可能性も…」

柵の前に並べられ、仲良く泣き言を言っているのは河原、福田、降旗の一年トリオだ。その横で火神も冷や汗をかいている。黒子は相変わらずの無表情だが、普段より若干遠い目をしていた。

「弱気な言葉は男を下げるわよ。観念して服を脱げ!!」

キラーン、と効果音が付きそうなリコの言葉に一年は揃ってハーフパンツのウエストを押さえるが、二年は思いきりよくTシャツを脱ぎ捨てた。

「え、ちょ、先輩───!?」

「なんだよ、一年も早く脱げ」

降旗の絶叫に、あくまで冷静に返す日向。その日向の正面にはリコがいて、上半身を観察している。
首を傾げた一年達に、伊月は笑いながら言った。

「脱げっつーのはこういうこと、去年は俺らもビビったけどな。カントク意外と優しいから」

懐かしいな、と言葉を交わし合う二年を見て、あからさまに安堵の溜め息を吐く一年達。

「マジで、マジで全裸かと…!!」

「俺もだよ…」

「はいはい、ホッとしたのはいいけどちゃんと立ってね。
福田君、瞬発力!!フットワーク増やすわよ?」

「すいません!!」

結局ガチガチになった何人かを見終え、リコは満足げに腰を伸ばした。

「さーて、ではこっからメインイベント!!

日向君から行ってみようか」

「…何をだ?」

一癖ないにしては大分綺麗過ぎる笑顔に、日向が固まる。かろうじて出てきた言葉は疑惑に満ちていた。

「決まってるじゃない…告白よ!!」

なおも愛想よく笑うリコ。日向は口から魂でも精神でも抜ける思いだった。
伊月は一年に向かって訂正を入れる。

「前言撤回だ。カントクはやっぱ容赦ない…!!」

五人ともコクコクと頷くが、状況がもっと切迫している日向はTシャツを着ながら叫ぶ。

「ちょっと待てよ、去年はやらなかったじゃねーか!!」

「ぶっちゃけへこみ過ぎて忘れてた!!覚えてたとしてもあの時のあんた達にやらせる程、私は鬼じゃないわ。
でも今年は違う、みんな身体も精神も強くなった。そして今こそ約束を守る時よ。
だからさぁ行けキャプテン!!」

「行くかー!!」

楽しげなリコとは正反対に焦る日向は外から見ていると笑いを誘い、部員達は止めようともしない。
そうしているうちに二人の話は有らぬ方向に流れていった。

「大体俺らだけって不公平だろ!!もちろんカントクもやるんだよな!?」

「考えてなかったけどそれもそうね。分かった、私もやるわ」

「じゃあ初っ端いっとけよ」

「弱気は男を下げるって言ってるのに。
いいわ、私からいってやろうじゃない!!」

「ああそうかい…って、ええ!?」

売り言葉に買い言葉でどんどん話が進み、日向でさえ予測しなかった事態にまで発展している。
勇んで足を踏み出したリコの背に、中途半端な日向の声がかかった。

「え、カントク、ちょっと、待…」

「何よ?あぁ…」

一瞬きょとんとしたリコは、何かを察したようにセーラー服の首元をつまんだ。

「脱ぐ??」

「脱ぐなぁぁあ!!!」

「うるさいわねー。
まぁいいわ、始めるわよ!!」

日向の声を聞いたのか聞いてないのか、リコは柵を掴んだ。
そして呆れたように額に手をやる日向のほうをちらりと見て、照れたような笑みを一度浮かべて。
夕日を浴びたリコの背中は順平の目に、とても綺麗に映った。

「二年C組相田リコー!!私は、男バスキャプテン日向順平が、大好きでーす!!!」

聞こえたかヘタレー!!
楽しそうに叫ぶリコはもう振り返らない。

思いっきり叫ばれた日向はその場から駆け出してリコの隣に並び、かと思うとすぐに柵に登った。

思わず顔を上げたリコが見たその目はどこまでも遠くを見据えていた。

「同じく二年C組日向順平ー!!俺は男バスカントク相田リコが、好きだーっ!!」

空に向かって大きく叫ぶと、日向は柵から飛び降りた。その先に待っているのは愛しい彼女の照れた顔。

それからついでに、呆れたように笑っている仲間達。日向は目を泳がせるしかない。

「俺の告白終わりっ!!」

気まずい表情の日向はそれだけ言うと半ば駆けるように階段へ向かい、その後ろに部員達も続いた。

「逃げるなんて最後までヘタレ!」

「うっせー」

「カントク、本当にこれでいいの?」

「そうねえ、考えとくわ」

ぞろぞろと屋上を後にしながら、とんでもなく青春をやらかした二人をからかう。
心の中の祝福は心の中でだけ思っていればいいことで、わざわざ言葉にしなくても二人には分かっていることだった。






(花に光を大地に水を)(バスケバカには青春を!!)



******
7巻を読み返していてふと書きたくなったネタ。
書き始めた時は最後までカントクが男らしかったのですが、流石に可愛いげがなさすぎたのでボツとなりました。

何度でも言う、順リコは青春だ────ッ!!


以下、くだらないオマケ。



「結局、俺とカントクしか告白してなくね?」

「日向が逃げたんだろ」

「このヘタレ!」

「だから俺はヘタレじゃねぇって言って…」

「あ、鉄平帰って来るって」

「マジで!?」

「俺スルー!?」


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あきゅろす。
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