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NL部屋
意識しちゃって下さい《木←リコ←日》
日向の一人語り。順リコに木吉を絡ませたい一心で捏造してみた。









俺は、鉄平に誘われるまま誠凛でバスケ部に入った。
関東人のくせに飴のことをアメちゃんと呼ぶ、奇人変人びっくり箱なこいつは知らずに人を引き付ける何かがあったのだ。こいつがいたからこそ、これだけの部員が集まったと言える。

その妙な魅力に惹かれてついてきたのは、何も俺達だけじゃない。
カントクも、明らかにその一人だった。
俺達にはいつでも強気な表情を見せる彼女は、本当はいつだってあいつに追い付こうと必死で。誰よりも近くで二人を見てきた俺からすれば、カントクの気持ちに鉄平が気付いていないとは思えなかった。

そこに、一抹の淋しさと悔しさがあることは否定しないけど。





ある日、たまたま鉄平と部室で二人になった俺は聞いた。

「なぁ、カントクのことどう思うよ」

「んー?リコはイイ女だよ」

口に含んだ飴をカラコロと鳴らしながら鉄平が応える。特別な意味はなさそうな口ぶりだった。

「悪い虫が付かないか心配だよなぁ。日向、その前に貰ってやってよ」

ああ、出来るならそうするさ。誰より俺がそれを望んでいる。

「鉄平、お前分かってるんだろ。カントクがお前を好きなこと」

出来るだけさりげない口調で、俺の気持ちは悟られないようにと努める自分が滑稽で哀れだ。鉄平には勝てないと知っている身体は戦うことを拒む。

「そりゃあね。でもリコが俺に向けるのは恋じゃないんだな」

またカラコロと飴を鳴らしながら、寄り掛かるロッカーに頭を預けて鉄平は言った。

恋じゃない??意味が分からない。

「俺にカントク程の理解力を求めるな。分かりやすく言ってくれ」

「あいつにとっちゃ、ちっせー女の子が親父とか兄貴に惚れるのと一緒なんだよ。家族愛とか、自分で言うのはなんだけど尊敬とかそんなもん。いつか分かる、あいつは俺から離れるよ」

惚れられてる俺が言うんだから信じなさい、と鉄平が続ける。

そう言われても、そんなこと簡単にはいそうですかとは納得出来ない。カントクの目は確かにいつも鉄平を追って、カントクの心はいつも鉄平を呼んでいるのに。
鉄平に何も伝わってないとしたら、カントクがあまりに可哀相だ。

「つったって、親父や兄貴だったら無理だけど、お前とカントクなら付き合うのだってセックスだって結婚だって出来るだろ」

「じゃあお前、姉やら妹を抱けるか?」

無理だ。想像しただけでいたたまれない。
でも…と反論を考える途中で気付いた。

なんで俺は鉄平とカントクの仲を取り持とうとしているんだろう。

答えは簡単に出た。
カントクの気持ちは家族愛でいつか鉄平から離れていくと聞いた時、俺は心の底で喜んだんだ。いつか俺を見てくれる日が来るかもしれないと。
今現在そんな兆しも見えないのに、鉄平の一方的な意見に縋る自分はあまりにも惨めで、そんな自分を直視するのはもっと惨めだった。

それならいっそ、手酷く振られたい。もっとも、告白する勇気なんかないんだけど。

「…淋しく、ないのかよ。いつか離れてくなんて」

「淋しいよ。でも俺にリコと付き合う気はない。だったらその淋しさは胸に仕舞うのが親父とか兄貴の役目だろ」

いつも天真爛漫な鉄平が、苦しそうに笑う。

「俺は日向になりたかったなぁ。大きくなってから出会ってたら、きっと惚れてたのに。あんなイイ女滅多にいないぞ」

カラコロ、カラコロ。鉄平の飴だけが音を立てる。

俺はお前になりたいよ、あいつがいつでも俺を見てくれるなら。

でも。

「ああ、そうだな」

そう答えたのはきっと、カントクを好きになったことを後悔していないから。こんな俺でもそれだけは誇れるな。

俺が近くにあるボトルから一気にお茶を煽って口を乱暴に手の甲で拭う頃には、鉄平の口はもうカラコロと音を立てなくなっていた。

その時不意に部室の扉がバタンと景気のいい音を立てて開く。

「鉄平ー!!あ、日向君も。二人揃って私の話を聞く準備万端ね!!」

片手にノート、片手にシャーペン、首からホイッスルを提げたリコが部室に飛び込んできた。
ベンチに座る俺とロッカーに寄り掛かる鉄平との間に仁王立ちした彼女が考えたらしい新しいメニューの話を聞く。

「おー、いいじゃん。早速取り入れるか」

カントクの頭をなんとはなしに撫でながら鉄平が言う。そのさりげなさを分けて欲しいくらいだ。
カントクは満足げに鉄平に笑いかけている。

犯しがたいと思っていた二人の空間を今日こそぶち壊す時だと思う。

「マジでよく出来てる、流石だなカントク」

言って俺もカントクの髪に手を伸ばした。
困惑と照れと笑顔をごっちゃまぜにしたみたいな表情のカントクにとりあえず満足。

「え、あれ、日向君??な、何してんのもー、照れるなぁ!!」

今はこんなもんで。いつか俺に気付いてくれればいい。
圧倒的不利なレース、それでももうスタートしてしまった。
制限時間は三年間、俺は鉄平を超えることが出来るだろうか。

「カントク、俺、強くなれると思う??」

「馬鹿ね、出来るかどうかじゃなくてやるのよ!!」

どこまでも俺に元気をくれる我らがカントク。
その言葉を信じて今日も気合い入れて行こうと思う。





(また一つ、目標が増えていく)(君と一緒に叶えるなら、それも悪くない)



*****
はい、誰得でお送りしました、如何でしたか??
木←リコ←日なんて一体誰に需要があるのかと思いましたが、構想無しの一発書き(一発打ち?)で完成してしまったのでとりあえずうぷ。それにしても順リコ贔屓甚だしいですね、純粋な木リコ派のお嬢様方には申し訳ない出来ですm(__)m

木吉君のキャラとポジションが安定する前にやっておきたかったんだぜ…!!
でも口調がはっきりしたら書き直すかもしれません、御了承クダサイm(__)m



Title by 確かに恋だった

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