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NL部屋
また明日、いつもの場所で《黒桃》
黒子のバスケ、黒子君と桃井さつき嬢です。
帝光時代捏造、苦手な方はバックプリーズ!!





「テーツー君!!」

「…桃井さん」

彼女は時々、僕を乱しに来る。







《また明日、いつもの場所で》








なんでもない平日の、なんでもないお昼時。裏庭のベンチで本を読んでいたところに、彼女は現れた。

「テーツー君!!」

「…桃井さん」

一人分の弁当箱と一つのバニラアイスを持って、彼女は僕の隣に座った。
こんな時間に僕をわざわざ探しに来るのは桃井さん以外いないので、顔を見る前に確信を持って名前を呼ぶ。

「テツ君、今日も本読んでるんだね。面白い??」

「ええ、趣味ですから」

膝の上に弁当を広げ、何が嬉しいのかニコニコとこちらを見て来る桃井さん。つられて笑ってしまいそうな頬を引き締め、本に目を落としたままそっけなく返す。

こっちのほうが、彼女が喜ぶと知っているから。

「もう、冷たいなーテツ君は!!」

思った通り、彼女は言葉だけ不満げに見せてかなり楽しそうに笑っている。
彼女は冷たい僕、というより自然体の僕が好きらしい。変に気を使われるよりそっけないほうが安心するらしく、そんな彼女の気持ちを知る僕は表に出そうになる感情を抑える。

「テツ君、アイス食べない??購買で売ってたのー」

ちょっと溶けちゃったかもしれないけど、と言いながらいきなりアイスを差し出す彼女。甘い物が好きな僕は本を閉じた後、一言お礼を言って受け取った。
ひらべったい木で出来たスプーンで一口食べると、普通のカップアイスがやけに美味しく感じた。








「あのねー、今度の練習試合なんだけどね、キャプテンが言うには…」

さっきからずっと、いつ食べてるんだというくらいの勢いで喋っている桃井さんだが、やはりバスケ部のマネージャーだけあって部活関係の話が多い。キセキのメンバーや監督、後輩の名前まですらすらと、ふっくらとした唇から紡がれる。
それが何だか、面白くない。

静かな場所、沢山の木々、膝には本、手にはバニラアイス、隣には桃井さん。
全部全部お気に入りのはずなのに、何かが足りない。
何かが、と言ったって、答えはちゃんと分かっているけど。

「桃井さん、僕のこと好きですか??」

「あったり前じゃん!!大好きだよ」

ニコリと、いつもの笑顔よりも控えめで照れたような表情に小さく満足する。ありがとうございます、とこちらも微かな笑顔で返した。

「て、テツ君…!!かっこいい……」

ただ少し笑って見せただけで、かぁっと顔を朱くしてこの反応。愛されるのは気分がいい。この愛が欲しくて、僕は時々意地悪になる。
貴女の気持ちを知ってこちらからは気持ちを返そうとしない僕を、貴女はどう思っているのだろう。

それでも、光輝く君が影の僕を追いかけてくれることが嬉しくて、今のままでいたいと願う。

「僕がどうかしましたか」

ゆっくりとアイスを食べながら、白々しくも彼女に聞いた。

「あー、戻っちゃった。でもいいもの見たな」

少し残念そうにしながらも幸せそうに笑う彼女は美しくて、ずっと見ていたい。勿論そんな資格は無いけれど。

「ねぇテツ君、アイス一口もらっていい??」

弁当を食べ終えたらしく膝に乗せていた箱を小さく畳み、軽く口を開けてこちらを見る彼女。肘を無意識に背もたれに置き、少し身体をこちらに開いている状態だ。

この光景は、いろいろとやばい。
何と言うか、彼女は、スタイルがよくて美人だから。

視線をカップに落としつつアイスを一口掬い、目まで閉じてしまった彼女の口まで持っていったところで一度手を止めた。
少し考えた後に掬ったアイスを自分の口へ入れ、そのまま彼女の口に運ぶ。
驚いて目を開けた彼女と視線を絡ませ、目元を綻ばせると瞼を降ろした。

舌で少しずつアイスを彼女の咥内へ流し込み、喉奥まで入れる。また流し込み、入れる。そんなことを繰り返すといつしか口の中のアイスは無くなり、ただのキスへと形を変えた。

そう、ただのキス。しかしそれで満たされる欲もあると、身を持って知った。

「ふ、んう…ぁぅ…!!」

だんだんと色を含む彼女の吐息に、身体が警報を鳴らす。
名残惜しくも彼女の唇から離れ、アイスで多少べたつく自分の唇を親指で拭った。

荒く息をしている彼女が愛しくて仕方ない。
けれど、僕は彼女が追ってくれるような男でいなければならないから。

「アイスの味、どうでした??」

「わ、わかんなかった、よ…」

真っ赤な彼女をベンチに残し、本とアイスのカップを持って一言。

「ご馳走様です。コレも、キミも」

ニィッと笑って、すたすたと姿を消した。






(桃井っち、何してんスか??)(な、何って…何してたんだろ私!?)(いや、分かんねっスけど)(いや──────ッ!!)





*****
ライカ様リク《黒桃》でした、如何でしたか??
初さつき嬢だったので別人感が否めません。
今まで桃青桃ばかり主張して来ましたが…黒桃、アリだな!←

ともかくプレゼント&誕生日おめでとう!!

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