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梓瀞学園
4


「俺、春先輩達に、吏麻先輩について話しておきたい事と、訊いておきたい事があります。出来ればゴールデンウィークに入る前に、冬牙も入れて、4人で話したいです」



こんなに、吏麻先輩の事を思ってくれている人がいるのに、先輩は気付いていないのだろうか?


気付いてて、心を閉ざしているのだろうか。







風紀室に戻ると、湫が風紀室を出ようとしている所だったらしく、扉の前に立っていた湫が、俺に気付いて駆け寄ってくる。


「もう少し話したかったけど、中等部生徒会から呼び戻されちゃったから帰る」


寂しさを隠す様に笑って、湫は言った。


「そっか悪かったな。……ん? 中等部生徒会?」

「淹ちゃん。湫ちゃんは、中等部生徒会の副会長さんなのよ」


俺の近くの資料棚に立っていた丙助先輩が、ニッコリと綺麗な笑顔付きで教えてくれる。


「へー! 立派な役職やってんな」

「えへへっ」


感心して頭を撫でてやると、湫は嬉しそうにはにかみ、俺の手にすり寄ってきた。


(我が弟ながら、ホント可愛い奴だ)


なんて兄バカな事を思って撫でていたら、視界の端に、不機嫌そうに唇を尖らせて、ヤキモチを妬くワンコを捉えた。


(スッゲーこっち見てる……)


後で吾枉も撫でてやらなきゃと思いながら、湫を風紀室の外まで見送った。







「兄さんも湫も、家に帰ってくるのは、ゴールデンウィークの3日目か……」


一緒に帰れないなと、風紀室からの帰り道、呟いた。


兄さんも湫も、風紀と生徒会の仕事で、ゴールデンウィークが始まっても直ぐには帰れず、3日目頃に家に帰ってくるらしい。


「2人で一緒に帰ろーね!」


隣で歩く漣が、ニッコリと笑って俺の手を握る。


「あー悪ぃ。俺家に戻る前に行くトコあるから、俺も帰るのは別で」


俺がそう言うと、漣は顔を真っ青にして焦りだす。


「なんでっ! 怒ってるの!? 湫に淹来た事言わないで、イジワルしたからっ! だから一緒じゃねーの!?」

「湫にはもうイジワルするな。でも、別に怒ってねぇよ。それが理由で、別行動って訳じゃない。初日の夕方までには帰るから」


そう言うと、漣は俺の唇に軽くキスをしてから、ギューっと抱き付いた。


「じゃあ、ゴールデンウィークまで毎日、淹と一緒に寝る!」

「どーせ家帰っても、一緒に寝るクセに」


そう呆れながら笑って、漣と寮に帰った。







[*BACk][NEXt#]

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あきゅろす。
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