檜垣学園 11 「り、リョウ!?そんな落ち込まないでくれ!僕なら平気だ!」 竜田姫君のあの敵視に気付いていて、知らんぷりしていたのかと怒りたくもなったが、僕のためを思い屋上へ連れて行ってくれたのかと嬉しくもあり、怒る気は無くなった。 大丈夫だと言ってみせても、リョウはしゅんとうつ向きどうすればいいのか戸惑う僕は、取り敢えずリョウのその綺麗な金色の髪を撫でた。 リョウの髪はとても柔らかく指通りもよくて、気持ち良かった。 何度も何度も撫でていると、リョウが躊躇いがちに僕を見たので、僕は安心させる様に優しく笑ってみせると、リョウは僕をそっと抱き締めた。 流石にそれはと、離せと言おうとしたが、リョウの身体が震えているのに気付き、僕は口を噤んだ。 普段は自信満々で強いリョウも、誰かを傷付ける事を怖がる小さな少年なのだと小さく笑い、ポンポンとリョウの背を叩いてあげた。 「……好きだ」 小さな囁きは、僕の頭に大きな衝撃を与えた。 「好きだ、ルーク。お前が欲しいっ…」 これは、ぎゅっとリョウに強く抱き締められたせいなのだろうか? 胸がとても苦しく、呼吸が乱れる。 「お前が欲しいっ。お前を支配したい」 「……どうして直ぐそっちへ繋げるんだい?僕は、…君とは友情を育みたい」 「俺はルークと友達になれない。俺はお前に欲情─」 「やめてくれっ!!!」 耳元で感じるリョウの熱い吐息と色気のある声に、僕は身体中が熱く、同じ位熱いリョウの身体を突き放した。 「聞きたくない…っ。そんなコトっ」 リョウの顔が見れなくて、うつ向き頭を左右に振り拒否すると、突き放す僕の両手をリョウは掴み、また僕を抱き締めた。 「………俺と友達になりたいって思ってくれんの嬉しいよ。すげぇ嬉しい。…でもゴメン。俺は止められない」 余りにも切なそうな声で言うから、思わずリョウを見上げると、リョウはゆっくりと顔を近付け、 「───っ、」 僕の額にキスをした。 その瞬間、嬉しさと、触れ合えなかった自分の唇に寂しさを感じた。 End [*BACk] [戻る] |