凵`次元転移装置脆すぎない?
「この世界にとっての希望は、ある人たちにとっての絶望……わかる?」
混乱と喧騒が場を支配する中、ヒガナはスミレに向かって片手を差し出した。彼女の手を取るには一歩踏み出す必要のある距離。スミレはそこから微動だにせず、首を横に振って否定を示した。
「いいえ、全く」
スミレの答えにヒガナがわざとらしく眉尻を下げる。差し出していた腕を引き、そう、と残念そうに呟いた。
「貴方がなぜ私に肩入れするのかはわかりませんが、貴方の意見には同意しかねる部分が多い。その口ぶりを見るに次元転移以外の方法で隕石をどうにかする考えがあるようですが」
「察しがいいね、仰るとおり。わたしたちには別の手段がある。そしてそれを叶えるために、ちっとばかし君の力を借りたいってワケだ」
「なら、どうしてそれを先に提示しないんです? タイミングならいくらでもあったはずです」
「あるかもしれない平行世界の存在を頭ごなしに否定する君たちに説明したところで、一蹴されるのがオチってやつっしょ? 丁度、君たちがしたみたいにさ」
「成程、一理ありますね」
ヒガナと顔を合わせるのはこれが初めてのことではない。以前に一度、同じトクサネ宇宙センターにて哲学のような言葉を交わしたことがある。
しかしそれは、お世辞にも会話と呼べるものではなかった。主張を一方的に叩きつけるだけの大砲戦。ヒガナは初めから周囲の意見や理解を求めてはいなかったのだ。
「ですが、私たちの〈飛来する隕石をどうにかしたい〉という思いは同じなのではありませんか? 貴方はその先にある〈平行世界を守りたい〉という目的のために動いていますから、貴方にとって隕石はあくまでも通過地点でしかないでしょうが」
「つまり?」
「不測の事態に備えて、最終手段として転移装置は残しておくべきだったのでは? もし貴方の仰る〈別の手段〉が何らかの原因で失敗に終わったとき、いまこの惑星に飛来する隕石をどうやって処理するおつもりなのかお伺いして宜しいでしょうか。それこそ、貴方お得意の想像力を働かせて」
「そんなことあるわけないんだなあ、これが。相手は自然エネルギーの塊だよ?」
ヒガナが困ったように肩をすくめる。スミレは成程、成程と淡々繰り返す。その横に立つダイゴは、背後でうなだれるウシオの同行から注意を逸らさないまま彼女たちのやりとりを静かに聞いていた。スミレの言葉選びは普段と異なりいささか刺々しい。あえて彼女を攻撃するような言葉を選んでいるかのようだ。
「ともあれ、貴方が転移装置を破壊してしまった以上、現状でワープホールによる隕石転移は不可能です」
「そう、だからもう一つの方法を……」
「私見を一つ述べさせていただけるなら、私はこの世界が助かるなら貴方の仰る平行世界が滅びようと構わないと考えています」
「……本気で言ってる? それ」
スミレのたった一言で周囲の空気が凍り、ヒガナの声のトーンが一段落ちた。鋭い眼光がスミレに突き刺さるが、それに臆することなく彼女は続ける。
「貴方のご期待に添えず申し訳ありませんが、私は私と、私の家族と、私の友人が無事ならそれで構わない。それこそ存在するかどうかもわからない何十億の人間とポケモンのために私の世界を犠牲にするほど献身的ではありません」
貴方がそれをやる分には勝手ですが、と付け足すスミレは自らの片腕をまさぐった。虹色の宝玉が嵌めこまれたバングルを取り外す。
「私の世界が滅んでしまうくらいなら、知らない命なんていくらでも滅んでしまえばいい」
「……そ。わたしの見込み違いだったってことか。がっかりだよ、スミレ」
スミレは返事代わりにメガバングルをヒガナへ向かって投げつけた。ヒガナは胸の前で悠々とキャッチしたそれを見て眉をひそめる。スミレは彼女に対して皮肉っぽく手のひらを差し出した。
「差し上げますよ。集めてるんでしょう、それ」
「そりゃどーも。行こう、シガナ」
ヒガナはメガバングルを懐にしまい、足元のゴニョニョを促して裾の擦り切れた外套を翻す。ヒガナは一度だけスミレたちを振り返り、その赤い瞳を細めた。
「今にわかるよ、自分たちの選択がいかに愚かだったかってこと」
「愚か者で結構。〈私の友人〉を理由もなく馬鹿にする賢者には、仮に貴方の言葉がいくら正論だろうと協力したくありませんね」
ヒガナが去り、ソライシ博士は慌てて転移装置の修復にとりかかり始めた。ヒガナの狙いは各トレーナーが所有するメガバングルだろう。次の狙いはメガストーンを所持していることが判明しているアイドルのルチアか、元アクア団リーダーのアオギリか。ダイゴとスミレは二手に分かれてヒガナを追うことにした。ヒガナの目的がわからない以上、状況によっては彼女を妨害する必要も出てくるだろう。
トクサネ宇宙センターを出て、それぞれ飛行用のポケモンを出す。先刻から働きっぱなしのペリッパーは疲れた顔でスミレをぶら下げた。同じく少し疲弊している様子のエアームドにまたがったダイゴが、スミレの顔を見てなにやらにやけている。
「どうしたんですか」
「僕もチャンピオンやらデボンの仕事やらで露出が多いから、謂れのない誹謗中傷には慣れていたつもりだったけど。スミレちゃんが僕のために怒ってくれたことが、すごく嬉しいなって。ありがとうね」
ダイゴに感謝の言葉をかけられ、スミレが驚いたように目を見開いた。長い前髪で顔を隠すように俯いた彼女だったが、赤くなった耳までは隠しきれていない。やがてスミレは紅潮した頬のまま、困り顔でダイゴに向き直った。
「やっぱりダイゴさんは大人ですね。私はいつまでも子どものままで、嫌になっちゃいます」
「君という得難い友人がいる僕は間違いなく幸せものだよ」
******
・【悲報】本編のグラカイ騒動を無傷で乗り切ったスミレ、エピソードデルタに巻き込まれる
・場面は殿堂入り後のEDから。トクサネ天体ショーを見に行く予定だったらしいパパンとママンだったが、パパンの急な仕事でキャンセルせざるを得なくなった模様。あちこちで自主休業するジムリが多い中、たった一日ですら休めないだなんて……頑張りすぎは体に毒やで
・妻に対して「申し訳ない」とか「すまない」とか妙にかたっくるしいセンリさんがかわいい。ぶきっちょか
・一方、トクサネ宇宙センターでは地球に急接近する超巨大隕石の存在を確認。慌てる研究員を叱咤するソライシ博士が流星の滝でイズミに追い詰められていたなよっちい研究員と同一人物とは思えない。この超展開は世代的にロックマンエグゼ4を思い出すなあ。はい、ブルームーン派でした
・ついに動き出したヒガナ。ネームドキャラでポケモンにNNつけてるの珍しい、のはいいんだが一文字違いはどっちがどっちだかわからんくなる
・なんかすごい。「守るよ、シガナ」までのひとり語り、シーンにしておよそ数分の出来事のはずなのに、ネットで小耳に挟んだ「夢小説の最強主人公みたいなキャラ」っていう評価がすごいしっくりくる
・天体ショーのチケットは娘とお隣さんへ譲られることになりました。シシコ座流星群は十二年に一度らしい。お母様の期待に応えるべくお隣さんへ顔を出しに行くことに
・出待ち
・自己紹介してないのにこちらの名前を知っている謎の少女。いや、主人公は新チャンピオンとしてマスコミに名前ばらまかれているんだけどさ。それにしたって初対面の相手に「なんだっけ、(主人公名)だっけ?」って君ね
・ここは顔出しだけして退場するヒガナ。なんだったんだ一体
・ようやくお隣さん家へ。なぜか痛がってるユウキ
・いきなり二階に現れた不審者がユウキのメガバングルをぶんどっていったらしい。手持ちのポケモンでで抵抗したものの残念ながら負けてしまったようだ。とりあえず大事に至らなかったようで何よりだ
・すぐに違うとわかるんだけど、最初はヒガナがユウキのメガバングルを強奪したのかと思ってヘイト値急上昇したよ
・※風評被害です
・ここは本当にすまんヒガナ。でもこの子必要とあらば家屋侵入と強奪くらい平気でやりそうでな
・トウカがどうとか、と置き土産を残していった不審者。こりゃ天体ショーどころじゃない。すまないユウキ、デートの誘いはまた今度だ
・トウカ=センリの考えしかなかった赤星氏、真っ先にトウカジムへ確認に行ったところチケラティイベントに巻き込まれる
・……ひとまず父ちゃんは無事だったからいいか
・深呼吸して町中探索。見たことのある筋肉モリモリのマッチョマンが病弱ショタに詰め寄る事案発生
・ここでミツルの実家がトウカにあったことを思い出す系プレイヤー
・ミツルのメガストーンを強奪しに来たらしいウシオと、メガストーンはないとしらばっくれるミツル。どうやらウシオの独断行動のようだが……
・相変わらずサメハダー一体で主人公に勝負を仕掛けてくるウシオ。ユウキ、お前サメハダー一体に全滅したの? 上から叩ける焼き鳥に相性有利なガッサとメガバシャがいて?
・ポケモンがいるとはいえ、十歳そこそこの年齢のときに目の前でこんな筋肉ダルマが暴れてたら怖いよなあ
・ミツルがメガストーンを紛失したのは事実らしい。家の中に置いておいたはずなのにいつの間にかなくなっていたとのこと
・ヒガナ……(顔を覆う)
・ミツルはしばらく自宅待機でご両親を守るつもりのようだ。それがいい。せっかく家出息子が帰ってきたのにご両親も大変だなあ
・いつの間にか電話機能を仕込まれていた主人公のポケナビにダイゴから連絡が入る。これエピソードデルタ終わったらコールナビ機能追加されるのかな。地味にリメイク前のお電話好きだったのだけど。ともかくデボンへ来いとのことなのでペリッッパーにぶら下がってカナズミへ
・久しぶりとは言いがたい日の開き方である。話は社長室で
・「親父」呼びも意外だが、ツワブキ社長に翻弄されるダイゴの姿が新鮮すぎて面白い。この息子にしてこの父有り。ちょっとヘヴィでロングな話を拝聴する
・いきなり三千年前はちょっと重くない?
・なんてモン引っ張りだしてるんだよデボンは!
・ムゲンダイエネルギーシステムの原点はカロスの大量破壊装置なのか……エネルギーをどう使うかという方向性よりも、そのエネルギーをどう搾取するかの方が問題じゃないのかと思うのだけれど、見事に話をそらすツワブキ社長
・リメイクで地域に根ざした中小企業というイメージから興味のあるものには来歴問わずに手を出す怪しい大企業というイメージに塗り替えられたデボンコーポレーション
・そういえば社長のファーストネームがポケスペだと「ムクゲ」なので、見る度にちょっとドキっとする
・いま迫っている隕石をどうにかするためには隕石のパワーが必要らしい(?)
・ダイゴはトクサネへ先行、主人公は石の洞窟へ隕石を取りに行くお使いへ
・所変わって石の洞窟、壁画の前にはヒガナの姿
・なにやら四次元の壁を超えそうな黄色い台詞を口走るヒガナ。カイオーガがメガシンカする世界線もあるってことかい
・そして唐突にバトル。デフォルメモデルはけっこうかわいらしい顔立ちなのに、バトル前の等身大モデルが瞳孔開ききったような目しててちょっと怖い。重心低くして左右に揺れるモーションと相まって獣のようだ
・ガチゴラスに半壊食らうパーティの図
・辛勝。ボーマンダちゃん頼りになるゥ!
・ヒガナから隕石の欠片を進呈される。ひとまずここでの仕事は終わったのでトクサネへ行こう
・トクサネから発射されるロケットにムゲンダイエネルギーを詰め込んで→(ふむふむ、そのエネルギーで隕石を砕くのかな)→ワープホールを作ります→!?
・ちょっとよくわからない
・技術的にワープシステムは確立されているそうだ。ジムによくあるワープパネルはその応用らしい。アレ、ゲームギミック的な扱いじゃないのか。すると短距離間のワープなら秘密基地にも設置できる=素人でも取り扱えるレベルで浸透してるってことでいいの? ポケモン世界の科学技術の進展具合はマジでわからん
・ワープで飛んだ隕石はどこへ行くかわからないけど、少なくとも主人公たちの住む惑星には落ちないという
・わあ、危ない匂いがする!
・ここで乱入者ヒガナ登場。受付のお姉さんにメンチを切って黙らせる
・二回目の顔合わせでも「誰だっけ、確か……」とか言われる。この子大丈夫か
・ヒガナはこの隕石ワープ作戦に反対の模様。主人公に同意を求めてくるが、主人公の持っている情報の中では反論するための代替案が思いつかないのでノーを選択。ヒガナもそれが普通、とひとまずは同意を見せる
・隕石をワープさせた先のことは考えないのか、と問うヒガナ。この宇宙の中で主人公たちの住む惑星以外の生命体に関して考慮しているのかと思いきや、話の矛先がいきなり平行世界とかいうトンデモ時空に飛び出していく
・いきなり平行世界論持って来られてもそりゃ冷たい反応になるわ。よかった、これでソライシ博士あたりが「聞いたことがある……!」とかノってきたら頭を抱えているところだ
・「想像力が 足りないよ」いただきました!
・妄言を吐くヒガナはさておき、ひとまずワープホールを繋げるためのアイテムとして必要な隕石を求めて流星の滝へ。ワープホールの先は固定できないようだから、ワープホールそのものを安定させるためのものだろうけれど、Fateの英霊呼び出すときの触媒みたいにワープ先を固定するための由縁の品が影響されたりするとそれはそれで面白いかも
・エピソードデルタ始まってから振り子のようなホウエン横断おつかいやらされてるんだがこれなんとかならなかったの
・流星の滝の奥部でダイゴと合流。パワーワード〈流星の民〉の登場だ!
・レックウザを信奉している流星の民。いのるコマンドでレックウザを現代でいうところのメガシンカ状態にし、度々暴れだすグラカイを治める交渉役と、この出来事を語り継ぐ伝承者の役割を担ってきた一族のようだ
・平行世界云々言ってくるからヒガナはその平行世界の滅亡を防ぐためこの世界に渡ってきたみたいな設定なのかと思いきや、おもっくそこの世界の人間なのかよ! じゃあさっきの平行世界の話はあくまで流星の民に伝わる伝承の中で伝え聞いただけでヒガナが実際に体験した話ではないということ? 元々薄い説得力がますます薄っぺらに……具体的に言うとディズニー映画に出てくる向こう側が見えるくらいにスライスされたチーズくらい薄い。パンだっけ? まあどちらでもいいや
・まあ、思い込みは激しそうだよね
・銀髪のイケメンなんだ、ダイゴさん。リメイク前の公式絵は水色が強い髪色だったから白に一滴水色垂らしたような髪色の描写してきたけど……まあこのままで行こう
・一度デボンに戻ったダイゴを追うと、デボン前で下っ端と三連戦。はよう弁当買って帰れ
・デボンを襲ったウシオは通信ケーブルとかいう懐かしい響きのアイテムを奪っていったらしい。トクサネ宇宙センターにとんぼ返りである
・下っ端もウシオの暴走に戸惑っているようだ。下っ端も女性ばかりだったし、物理的にあの筋肉止めるのは難しいよね。そのためにリメイクアオギリもマッシヴになったのだろうか
・ウシオの叫びが完全にアメコミのそれ
・アオギリはカイオーガを手放した理由をウシオに説明してないのか? ってレベルの無理解っぷり。今ロケットを潰されるのは困るのでダイゴとのダブルバトルで黙らせる。恐らくユウキのメガバングルを使ったのだろうが、いい加減メガシンカする前に手持ちを増やせ。グラエナでもいいから
・混乱に乗じて登場するヒガナ、ウシオから通信ケーブルをひったくり握力で握りつぶす。ふぇぇ、こわいよぉ……
・なんだろうな、「〜ですよっと」とか母音を省略する癖とかが余計に二次創作っぽさを出してるのかな。個人的には伸ばし棒を波線で表現してるところが二次くさいと思う。それより一番の問題は自分が持っている情報を一切開示せずに自分の常識で物事を図ろうとしている点なのだが
・ダイゴを不必要にディスってまでヒガナが主人公に期待を寄せる理由は何なんだ? そこもよくわからん
・「チャンピオンには期待してないから」が今のところヒガナ語録中ナンバーワンの煽り。ヒューゥ! なにがすごいって、ダイゴファンのヘイト値を爆上げさせるようなキャラを公式で出しちゃうところがすごいよ。次は何を言うのか段々楽しみになってきた
・野次馬根性丸出し
・というかダイゴの煽り耐性高すぎる。これがチャンピオンの余裕か
・ウシオとダブルバトルで組んでた下っ端はダメンズ好きなのか? それとも母性本能をくすぐるなにかがあるとでも?
・次はアクア団アジトへ殴りこみを掛けに行くと言い残して姿を消すヒガナ。混乱するセンター内で動けるのは主人公だけのようだ。わかったよ、行けばいいんでしょ!
・立てこもりの真っ最中だというのにトクサネのロケット発射環境の良さを滔々と語り続ける研究員モブは大物
【スミレ(♀)】
プレイ時間 78:10
捕獲/発見 161/197
パーティ
・マイア(ジュカイン♀)Lv.53
・エレクトラ(ドクケイル♀)Lv.51
・タユゲテー(ペリッパー♀)Lv.52
・アルキュオネ(ボスゴドラ♀)Lv.51
・ケライノー(コータス♀)Lv.51
・ツヴァイ(ボーマンダ♀)Lv.52
→ゲームをプレイしているとぽんぽこネタが湧いてくるので、やっぱりポケモン楽しい
→ヒガナ理論に関しては序盤に開示された情報のみを頼りに劇中で反論してるので、後から開示された情報と齟齬が生じる可能性がないでもないです。そのときはこっそり直しますね
→エピソードデルタ、同じところに何回も立ち寄るせいで小題を決めるのに一番時間かかる
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