月が一回り(夢主)
「郵便でーす」
「はーい!」
誰からかしら。と、届いた小包の送り主を見てみるが、不明。
(イタリアから?)
心当たりが多すぎて首を傾げながら包みを丁寧にほどいていく。
「わぁっ可愛い!」
出てきたのは小さな銀細工のオルゴール。
蓋を開ければ可憐な旋律とメッセージ。
『遅くなったけど、良かったらどうぞー』
慣れない歪な日本語で書かれたそれに、送り主の正体を悟り、クスリと小さく笑みを浮かべる。
「誕生日がまた来たみたい」
二回も誕生日が来たようでとても嬉しい。
そう呟けば、目の前のソファーで眉をしかめるのが見えて少し苦笑。
コトリと、写真立てとピアノを模した置物の間にそれを添える。
「貴方と少し似てるわね」
そう言いながら、今度息子にこの小さな足長おじさんの好みを聞いておこう、と画策した。
小さなオルゴールは相変わらず美しい旋律を奏でていた。
月が一回り
(1ヶ月遅れのプレゼント)
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