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輪廻転生・成り代わりの話
二の巻
「かすが、聞いたか?お前を追っていた中隊が全滅して、その隊長の任にいた兄さんが行方を眩ませたらしいぜ。」

「そ、それは本当なのか?!」

「ああ。森ん中を通過中に何者かによって襲撃を受けたか、若しくは…」

「まさか兄様が殺ったとでも言う気か!」

「冷静になれ、かすが!状況からその可能性も考えられると里の上の奴等が。だが兄さんが部隊を見捨てて一人逃げ隠れするとは思えないし、俺はかすが、お前の為に兄さんが殺ったんじゃないかと思ってる。」

「それじゃあ兄様まで追われてしまうじゃないか!私の所為で、兄様に、迷惑が…」


可愛い妹と弟分がそんな会話をしているのを、聞き耳立てていたのは事を起こしてから二日目の明け方。
あの日以来俺は気配を殺してかすがを見守っている。
べ、別にストーカーじゃないからな!!
ただ、俺が事を起こした所為でもっと多い分隊が派遣されたりしたらいけないと思ってだな……
俺も追われる身だから表立っては行動できないけど、それでもかすがの助けになってやりたいって兄心。
みんな分かってくれないかなぁ?
それにしても佐助め、いつまでかすがとお喋りしてるつもりだ!
お前が仕えてるのは越後じゃないだろ!
確か甲斐の虎の……弟子の若虎の方だったはずだろう!!
いい加減にしないとこの極細千本お前の首筋に放つぞ。
一瞬の殺気の漏れにシンっと辺りが静まり、慌てて自制する。
が、佐助はそれに気付いたらしく注意深く周囲を見回す。
「かすが、今の感じたか?」

「何の事だ?」

「今、何者かの殺気を感じたんだ。誰か、いるかもしれない。」

「貴様にしては、いやに曖昧だな。」

「一瞬だったから、さー。」
只でさえピンポイントで佐助にだけ殺気を向けてたんだ、と言うか可愛いかすがに殺気なんか向けるもんか!


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あきゅろす。
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