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輪廻転生・成り代わりの話
金平糖二個目
そしてどれくらい経ったのか、ふと気が付き目を開ける。
目を開ける?
私は死んだのではなかったか?まぁ良いや。
病院ではないらしいここは何処なのだろうか。
辺りを見回すと純和風の、しかしとても質素な部屋に寝かされている事に気付く。
ムクリと上半身を起こしボーっとする頭に活を入れながらもう一度部屋を見回す。
今度はここが何処か手がかりを得る為に。
あ、弓が有る。ちょっと小さいな、子供用かな?
襖絵は綺麗な景色だ。梅に鶯とか、風流だな。
そんな感想を浮かべながら見ていた襖が自動ですうっと動いた。
はっ?
「餓鬼が、漸く起きたか。」
突然の出来事に混乱していると、動いた襖の原因らしき人物が何か言葉を発した。
『え、あ、はい。』
取り敢えず返事をする。
男の格好が、まるで戦国時代とかみたいな昔の武士のような感じの、だけどそれよりゲームに出てきそうな鎧を着ていて、しかも物凄い威圧感を漂わせている事で思考回路が停止してしまったようだ。
「餓鬼ィ。貴様、名を何と言う。」
『蘭丸と申しま、す?』
男に名を促されて名乗ろうと口を開いたら。
其処から出てきたのは慣れ親しんだ名ではなく。
でも何処か己の名と胸を張って言えるほど自然にその名が出てきた。
「丸、是非も無し!」
そして男は満足そうに部屋から出て行った。
残されたのは私と黒い着物の裾が太腿まで深くスリットの入った女の人だけ。
「蘭丸君、上総介様に代わってお礼を言うわ、ありがとう。」
『礼、ですか?』
「そうよ。貴方の弓のお陰で私達は傷を負う事無くあの場を抜けられたのだから。その代わり蘭丸君、貴方が怪我をしてしまったけれど。本当にごめんなさいね。」
『……。』
この人達を助けた覚えは無い。
だが自分の弓で人助けをした、その事が胸を高鳴らせる。
「上総介様は蘭丸君が気に入った様ね。一緒に頑張りましょう。」
『かずさ、のすけさま?』
「そうだったわね、先程のお方が上総介様、織田信長公、これから貴方が仕える人。そして私は濃って言うのよ。」
なんと!あの有名な信長公とその細君をお助けしたらしい!!
って本当に戦国時代なの?!
「蘭丸君、大丈夫?」
『あ、はい、大丈夫です!』
いや、ほんとに色々と大丈夫かな、私。

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あきゅろす。
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